BLOG

改正相続法についてなるべくわかりやすく話してみる。その7の2 「配偶者居住権のポイント」

配偶者居住権の概要・ポイントは?

前回から改正相続法のうち配偶者居住権についてお話しをしています。

今回は配偶者居住権の概要についてもう少し詳しく見てみることにします。

なお前回にも申し上げましたが、配偶者居住権はこれからスタートする制度ですのであくまで現時点でのお話しがベースとなりますし、わかりやすく説明することを重視したいので多少乱暴な表現になることもあるかと思いますがご容赦いただければ幸いです。

また相続関係は前回と同様の形としたいので念のため前回の図を今回も載せておくことにします。

 

では配偶者居住権の要点についてまず見てみましょう。

これについては法務省ホームページにその記載がありますので引用します。

(要点)

配偶者が相続開始時に居住していた被相続人の所有建物を対象として,終身又は一定期間,配偶者にその使用又は収益を認めることを内容とする法定の権利を新設し,遺産分割における選択肢の一つとして,配偶者に配偶者居住権を取得させることができることとするほか,被相続人が遺贈等によって配偶者に配偶者居住権を取得させることができることにする。

 (出典:法務省ホームページ「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律について(相続法の改正)」http://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00222.html

いつも言うことですがこういった官公署の文は専門家の方でないとさっと読んでもよくわからない内容と言っていいと思います。

そこでまず配偶者居住権のポイントを以下のようにまとめてみました。

・被相続人所有の建物に引き続き住み続けることのできる権利

・原則終身の権利 ただし期間を設けることもできる

・無償(賃料は発生しない)

・配偶者が相続開始時において当該建物に居住していたことが条件

・被相続人と配偶者以外の者が共有している建物においては使えない

・遺産分割または遺贈の目的として設定

・配偶者居住権の譲渡はできない

・所有者の承諾がなければ第三者による使用収益は認められない

・登記が対抗要件

・通常の必要費は配偶者の負担、臨時の必要費や有益費は所有者の負担

全部で10項目をあげてみました。

以下一つずつ簡単にですが触れていきます。

 

・被相続人所有の建物に引き続き住み続けることのできる権利

これが配偶者居住権をもっとも簡潔に言い表したものです。

冒頭図の例で言えば夫名義の建物に妻が引き続き住み続けることのできる権利という意味合いになります。

この時妻はこの建物を所有するのではなくあくまで居住する権利を得ることになります。

所有権は子どもなど他の相続人の権利となります。

 

・原則終身の権利 ただし期間を設けることもできる

この権利は何もなければ原則として配偶者が亡くなるまで住み続けることができるものです。

ただし期間を設けることも可能です。

 

・無償(賃料は発生しない)

先程建物の「所有権は子どもなど他の相続人の権利」と申し上げましたが、この時居住権を持つ妻は子どもに賃料を払うのかどうか疑問に思われる方がいらっしゃるかもしれません。

これについては無償、つまり妻は子どもに賃料を払わなくてもいいことになります。

 

・配偶者が相続開始時において当該建物に居住していたことが条件

原則として冒頭図の例において妻は夫が亡くなった際に同じ建物に住んでいることがこの権利を利用できる条件となっています。

 

・被相続人と配偶者以外の者が共有している建物においては使えない

あまりないかもしれませんが、先程の例でこの自宅がもし夫と夫の兄弟が共有しているとしたら妻は配偶者居住権を利用できなくなります。

 

・遺産分割または遺贈の目的として設定

この権利は夫が遺言書で妻に配偶者居住権を贈る形で設定してもいいですし、妻と子どもによる遺産分割によって設定してもいいことになっています。

 

・配偶者居住権の譲渡はできない

・所有者の承諾がなければ第三者による使用収益は認められない

これは大切なポイントの一つとなりますが、配偶者居住権を第三者に譲渡することはできません。

この権利は先程の例で言えば夫が亡くなっても、妻が夫と一緒に暮らしていた家に住み続けることができるような趣旨で作られた権利です。

したがって第三者に譲渡することは認められませんし、所有者である子どもなどの了解なくして使用収益つまり第三者に貸し出すなどしてはいけないことになっています。

 

・登記が対抗要件

配偶者居住権は登記をしなければ第三者にその権利を主張することができません。

 

・通常の必要費は配偶者の負担、臨時の必要費や有益費は所有者の負担

この建物の維持管理などにかかる費用は誰か負担するのかという問題です。

例えば固定資産税などは妻が支払うことになりますし、リフォーム代や災害時における修繕費などは所有者が負担することになります。

なお固定資産税は通常所有者あてに納税通知が送られてきますから一般的には所有者が支払うことになりますが、この費用をあとで配偶者からもらえる、つまり求償できるように考えられているようです。

(参考法務省作成パンフレット「相続に関するルールが大きく変わります」P9

http://www.moj.go.jp/content/001285654.pdf

 

配偶者居住権の消滅

さてこの配偶者居住権ですが次のような理由によって消滅することになります。

・配偶者の死亡

・期間設定時は期間満了

・配偶者の用法遵守義務、善管注意義務違反(所有者の是正催告必要)

・当該建物の滅失等

原則である配偶者が終身利用できるケースおいてはもちろん配偶者死亡時に消滅しますし、期間を設定していれば期間が満了すれば消滅することになります。

それ以外にも建物が無くなってしまうケースや居住権を有する配偶者が使い方においてルール違反をした場合に所有者の催告を無視したケースでも配偶者居住権は消滅することになります。

なお配偶者居住権そのものは居住権者(先程からお話ししているケースでは妻)が死亡した際の相続においては相続財産にはなりませんのでご注意ください。

ということで今日は配偶者居住権の概要についてお話ししました。

次回はこの配偶者居住権の評価についてお話しします。

関連記事

ページ上部へ戻る