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改正相続法についてなるべくわかりやすく話してみる。その7の1 「配偶者居住権の基本」

改正相続法の確認

昨年民法の相続編が改正され一部施行されています。

このブログでは改正相続法のうち、もっともはやく2019年1月に施行された自筆証書遺言の改正についてまずお話しをし、その後「改正相続法についてなるべくわかりやすく話してみる。」というタイトルで2019年7月に施行された内容について昨年6回に分けてお話しし、さらにその後関連事項についても触れています。

相続法についてどのような改正がなされたのかを当ブログでお話ししたタイトルで下記に並べてみました。

詳細はそれぞれ下記のリンク先をご覧いただくこととしてこの機会にぜひご確認いただければ幸いです。

2019年(平成31年)1月から自筆証書遺言は何が変わるのか?

夫婦間の居住用不動産の贈与

預貯金の仮払い制度

改正相続法の「預貯金の仮払い制度」利用にはどんな書類が必要なのか?

相続開始後の共同相続人による財産処分

遺留分の見直し

相続の効力等に関する見直し

特別の寄与

さてこの改正相続法ですが今年2020年より施行されるものがあと1つ、関連して新たな法律がスタートするものが1つ残っています。

前者は2020年4月1日より施行予定の「配偶者居住権」、後者は2020年7月10日より施行予定のいわゆる「遺言書保管法」による「自筆証書遺言の法務局保管制度」です。

昨年改正相続法のお話しをした際にこの二つは施行時期が年明けになることから後日改めてということにしておりました。

年も改まりすでに2月に入りましたのでこの残りの二つについてお話しをしていくことにします。

で、前振りが長くなりましたが、今日から数回に分けて「配偶者居住権」についてお話しをしていくことにします。

なお配偶者居住権はこれからスタートする制度ですのであくまで現時点でのお話しがベースとなります。

またわかりやすく説明することを重視したいので多少乱暴な表現になることもあるかと思いますがご容赦いただければ幸いです。

 

配偶者居住権の基本的な考え方

配偶者居住権は先程申し上げたように2020年4月1日(水)より施行予定となっています。

その前に先程から「配偶者居住権」と言っていますが、実は「配偶者居住権」と「配偶者短期居住権」という二つの制度があります。

ただ基本的にはまず「配偶者居住権」を知っていただいた方がその違いがわかりやすいかと思います。

そこでこのブログでは今日から4回に分けて、まず「配偶者居住権」についてお話しし、その後に「短期居住権」について触れていく形でお話を進めていきます。

今日はこの「配偶者居住権」の基本的な考え方についてです。

 

そもそもなぜこの「配偶者居住権」なるものが新たに作られたのでしょうか?

これは相続財産と相続人の関係によるところが大きい話になります。

下記のような相続関係をまず考えてください。

よく事例として用いられるパターンですが、夫が亡くなり相続人が妻と子ども二人、ここでは長男、長女という相続関係です。

この時仮に夫名義の相続財産が自宅と金融資産としましょう。

自宅の評価が土地建物3,000万円、金融資産が1,000万円の計4,000万円の相続財産とします。

この関係において法定相続分は妻が2分の1、子ども二人がそれぞれ4分の1です。

とすると妻の取り分は2,000万円分ですから法定相続分では自宅の所有権のすべてを相続することもできない状態です。

また夫が遺言書ですべての財産を妻に相続させることにしておいたとしても、子ども二人にはそれぞれ遺留分が存在します。

(遺留分の詳細は当ブログ内の下記の投稿をご覧ください。

「遺留分」って何だろう?

「遺留分侵害額請求権」って何だろう?

このケースで子ども二人の遺留分はそれぞれ8分の1ずつですから今回のケースでは金額にして500万円です。

つまり家を全部取得できても妻は実質的に相続財産から金銭がもらえないこととなります。

これでも妻が十分な金融資産を保有していればいいのですが、もしそうではないとする場合、年金だけでは生活できないというような可能性も出てきます。

(ちなみに単身になった場合の老後資金の考え方について参考として下記の投稿をご覧ください。

もし一人暮らしの高齢者になったら その時にそなえるために

このようなケースに備えるための選択肢の一つとして配偶者には自宅の所有権ではなく居住権を確保させる制度を作りました。

配偶者居住権は配偶者が自宅を所有するのではなく利用する権利です。

したがってその評価は所有権よりも安くなりますから、配偶者にも金融資産を相続させることが可能になり相続発生後の配偶者の生活資金を確保することができるという考え方となりました。

なおこのとき所有権は先程の図の例でいくと子どものどちらかまたは双方が相続して取得することになります。

これが「配偶者居住権」が作られた背景とイメージになります。

とはいえこの「配偶者居住権の評価」については正直こんな面倒な計算方法を誰が利用したがるのだろうという疑問が出てくるくらいにややこしいものが法務省の法制審議会では出されています。

そこでこの評価方法については回をあらためてお話しをさせていただくこととします。

次回は配偶者居住権の概要やポイントなどをひろってお話しすることにします。

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