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遺言執行者について知っておきたいこと

遺言書

前回に引き続いて遺言執行者のお話しです。

なお前回「遺言執行者とはどんなもの?」についての投稿はこちらからご覧ください。

今日は前回よりももう少し細かいお話しをすることにします。

なお前回同様遺言執行者の規定すべてに触れるのではなく、特に知っておいていただきたい部分についてのみ取り上げてお話ししますのでご了承ください。

 

誰が遺言執行者となるのか

まずは前回の最後のところでお話しした遺言執行者となることのできない人についてお話しです。

これは民法で規定されています。

第1009条です。

民法第1009条 

 未成年者及び破産者は、遺言執行者となることができない。

これが遺言執行者のいわゆる「欠格事由」と呼ばれるものです。

したがって逆にいえばこれに該当しない人は遺言執行者となることができます。

実務的に可能かどうかは別として、条文上で見れば、成年被後見人でも遺言執行者となることは可能ということになります。

 

また実際によく使う事例としては遺贈を受ける相手方である受遺者が遺言執行者となるケースがあります。

受遺者本人が遺言執行者となるわけですからその後の手続きが進めやすくなることは確かです。

もちろん相続人を含め親族が遺言執行者となることも可能です。

 

遺言執行者は一人でなくてもよい

ところでこの遺言執行者、1人でなくてはいけないのでしょうか?

もしそうだとした場合、万一遺言者よりも遺言執行者が先に亡くなってしまうようなことが起こると困りますよね。

結論から言うと遺言執行者は一人でなくてもかまいません。

二人以上でもかまわないわけです。(民法第1006条第1項)

さてでは二人以上遺言執行者を選んだ場合、そのどうやって遺言の執行などを行っていくのでしょうか?

これについても民法に規定があります。

民法第1017条

 第1項 遺言執行者が数人ある場合には、その任務の執行は、過半数で決する。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。

 第2項 各遺言執行者は、前項の規定にかかわらず、保存行為をすることができる。

難しい表現ではありますが、基本的には二人以上遺言執行者がいれば過半数でその執行を決めることになります。

ただ「過半数」ですから偶数の場合は難しいですよね。

 

そこで私も経験がありますが、実際には「遺言執行者は各自独立して遺言を執行できるものとする。」というような文言を遺言書に記載するケースが多いと思います。

これであれば過半数でなくても進めることができます。

また「保存行為」といって例えば修理などその財産を維持するための行為は規定がなくても各遺言執行者が単独で行うことができます。

 

とはいえそもそも遺言執行者を複数選んでおく理由がご自身にあるのかどうか遺言者はよく考える必要があります。

一般的に遺言執行者を複数選ぶ理由としてよく言われるのは先程も触れたように遺言執行者のうち1名が亡くなってしまうようなケースを想定している場合です。

1名だけだと遺言執行者が遺言者よりも先に亡くなることも考えられるわけですが、その場合には遺言の執行をする人がいなくなってしまい遺言書を再度作り直す必要に迫られるでしょう。

そういったことを防止する意味でも複数選任することが考えられるわけです。

 

また遺言執行者は個人でなく法人でも構いません。

したがって1名であっても指定した遺言執行者が法人であればそのような事態を考慮することはないでしょう。

ただし法人に遺言執行者を頼む場合は遺言執行に関する手数料などが必要になるかどうかその他どのような費用がかかるかなど十分な検討をするようにしましょう。

 

遺言執行者に選ばれても断ることができる?

ところで遺言によって遺言執行者とされた人がそんな話はつゆ知らずまさに寝耳に水という状況だったらどうでしょう?

「そんな大事なこと断りたいんだけど・・・。」

と思うことでしょう。

条文は次のようになっています。

 

民法第1007条

 第1項 遺言執行者が就職を承諾したときは、直ちにその任務を行わなければならない。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。

 民法第1008条

 相続人その他の利害関係人は、遺言執行者に対し、相当の期間を定めて、その期間内に就職を承諾するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、遺言執行者が、その期間内に相続人に対して確答をしないときは、就職を承諾したものとみなす。

遺言執行者に選ばれても断ることは可能です。

ただ承諾するかしないかは早めに決める必要があり、相続人からどうするのか催告された場合やらないのであればはっきりやらないと言わなければいけないわけです。

 

ということは遺言者の方は遺言執行者になる方について、事前にきちんとやっていただけるかどうか確認して上でやっていただける方にお願いするということが実務的には通常だと思います。

このあたり遺言者亡き後の手続きをきちんとしていただける方を事前に探してご相談しておく必要があることをご理解ください。

なお先程の民法第1007条には改正相続法により第2項の規定が新設されました。

この第2項では遺言執行者が任務を開始したら、遅滞なく、相続人に遺言の内容を通知することが義務付けられています。

相続人が遺言の内容を知らないということは大きな問題ですのでこれは当然の事だと思います。

 

ということで前回今回と2回にわたって遺言執行者についてお話ししてきましたが、なるべくやわらかくお話しすることを重視したので、他にも細かな規定がありますが触れなかったお話しもまだあります。

もし遺言執行者のお話しについて関心のある方は遺言書の作成手続きに関するご相談も含めぜひ一度お問い合わせください。

詳しくはこちらの遺言書作成に関する業務案内のページをご確認ください。

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