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遺言執行者とはどんなもの?

遺言書

今回次回と2回に分けて「遺言執行者」についてお話しします。

公正証書遺言の作成に関するお仕事などでもこの「遺言執行者」を定める規定を置くことはよくあることです。

が、その「遺言執行者」という存在がどういうものなのかは遺言書のことが周知されるようになった最近でもあまり知られていないと思います。

今日はこの「遺言執行者」とは何か?ということがお話しの中心にはなります。

ただしこのブログの性格上、あまり難しい説明にはしたくないので、なるべくやわらかくわかりやすく、そしていくつかの規定についてピックアップしてお話ししていきたいと思いますのでご了承ください。

 

「遺言の執行」とは何か?

さて本題に入る前にそもそもこの「遺言の執行」とはどういうことなのでしょうか?

簡単にですがまずそこからお話ししていくことにします。

 

「遺言の執行」とは、遺言書に書いてある内容を実際に実行することです。

例えば遺言者がご自身の死後、自分の財産の一部をお世話になった団体などに寄付したいという遺言を残したとします。

この時この財産を団体に寄付する行為を実際に行うことが「遺言の執行」ということになります。

ただお分かりいただけるかと思いますが、遺言書の内容を実際に行うときには遺言者はすでに亡くなっています。

ですから遺言者ご本人は遺言書の内容を実行することはできません。

そのために先ほどお話しした寄付する行為などにおける具体的な手続き、すなわち「遺言の執行」を行うにあたってこれを実行する人が必要になります。

で、この「遺言の執行」を行う人がすなわち「遺言執行者」ということになるわけです。

 

「遺言執行者」は必ず指定するものではない

ところで今お話しした例えば遺言者のある特定の財産を任意の団体などへ寄付するような遺贈行為(特定遺贈 民法第964条)は「遺言の執行」が必要になる行為です。

ちなみに2019年7月施行の改正相続法においては次のような規定が設けられました。

民法第1012条第2項

 遺言執行者がある場合には、遺贈の履行は、遺言執行者のみが行うことができる。

ただすべての遺言書の内容においてこの「遺言の執行」が必要なわけではありません。

再び例を出して恐縮ですが遺言書の内容が「自宅を妻に、金融資産を子どもに」というようなものになっていたとします。

このような場合は相続人それぞれが必要な手続きをとればいいわけですから、遺言執行者がいなくてもいいということになります。

ただしこのような遺言において改正民法では新たに第1014条第2項と言う規定を設けています。

民法第1014条第2項

 遺産の分割の方法の指定として遺産に属する特定の財産を共同相続人の1人又は数人に承継させる旨の遺言(以下「特定財産承継遺言」という。)があったときは、遺言執行者は、当該共同相続人が第899条の2第1項に規定する対抗要件を備えるために必要な行為をすることができる。

なんだかむずかしい言葉が並んでいますが、ここでいう「対抗要件を備えるために必要な行為」というものの一般的な例が不動産の名義変更、すなわち登記の申請です。

遺言執行者が定められていれば遺言執行者が必要な手続きをすることもできるわけです。

 

また最初に出した寄付の例で、もし遺言執行者が指定されていなくても、遺言者に相続人が存在すれば、相続人全員で寄付のための手続きをすることになるため、この場合においても遺言執行者は必要ないことになります。

 

ちなみに条文の規定の中に遺言執行者が行うものとしてあげられている内容としては次のものがあります。

これらは遺言執行者が必要ということになります。

・遺言による認知(戸籍法第64条 なお民法第781条第2項)

・遺言による推定相続人の排除及びその取り消し(民法第893条、同第894条第2項)

 

「遺言執行者」を指定した方がいい場合

お話ししてきたように遺言執行者は必ずしも必要な存在ではありません。

ただ指定しておけば相続人の負担が軽減されることも出てきます。

遺言執行者のお仕事については次のような規定があります。

民法第1012条第1項

 遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。

民法第1015条

 遺言執行者がその権限内において遺言執行者であることを示してした行為は、相続人に対して直接にその効力を生じる。

これらもまた難しい書きぶりですがよくある事例で見てみましょう。

例えば遺言執行者は相続人にかわって金融機関で相続に関する手続きを行うことがあります。

この場合第1015条によれば、遺言執行者が権限内の行為を遺言執行者として行うと相続人に直接効力を生じることになっています。

ですから先程の例で、もしご夫婦で夫が亡くなった後のことについて、残された妻だけでは金融機関での手続きに心配がある、というようなケースにおいては遺言書でこの遺言執行者を別途選任しておくといいでしょう。

 

また独身の方で相続人がいない方が、最初にお話ししたような相続財産を寄付・遺贈しようと考えている方は遺言執行者の指定が必要です。

そうでなければ「遺言の執行」がされずに遺言の内容が実現されないことになってしまうからです。

その他先程ご紹介した遺言による認知や推定相続人の排除・取り消しには遺言執行者が必要になります。

 

なお注意する点として遺言執行者を誰にするのか、という点があります。

ケースによっては我々のような専門家や金融機関などを遺言執行者とすることもあるでしょう。

この場合は遺言執行の手続きに関する手数料が発生することが通常です。

民法第1018条第1項には次のように書かれています。

民法第1018条第1項

 家庭裁判所は、相続財産の状況その他の事情によって遺言執行者の報酬を定めることができる。ただし、遺言者がその遺言に報酬を定めたときは、この限りでない。

この第1項ただし書きの規定を利用して一般的には遺言書に相続財産の何%というような取り決めを入れることが多いと思います。

この内容もよく確認したうえで依頼するようにしましょう。

また遺言執行者は、未成年者や破産者でなければ、その親族はもちろん相続人でもかまいません。

このあたりについて長くなりますので詳しくは次回にお話ししますが、親族であれば遺言執行の手数料等は発生しないと思いますので、遺言書の内容も含めて検討することが重要になります。

さて次回は遺言執行者のもう少し細かい規定についてお話しすることにします。

なお遺言執行者などのことも含め遺言書の作成手続きや詳細について検討されている方はよろしければ一度ご相談ください。

詳しくはこちらの遺言書作成に関する業務のご案内ページをご覧ください。

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