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新しい「ねんきん定期便」と少しだけ「繰り下げ受給」の話

先日2019年6月8日の日経新聞朝刊で

「年金 新「定期便」の読み方 繰り下げ受給強調 不利益も」

という記事がありました。

記事にもあるようにこの新しい「ねんきん定期便」の特徴は表面に「繰り下げ受給」についての説明がある点です。

ちなみに新たな「ねんきん定期便」の見本を下記にあげておきます。

(出典:日本年金機構ホームページhttps://www.nenkin.go.jp/service/nenkinkiroku/torikumi/teikibin/20190405.files/31-02.pdf)

(出典:日本年金機構ホームページhttps://www.nenkin.go.jp/service/nenkinkiroku/torikumi/teikibin/20190405.files/31-02.pdf)

 

「繰り下げ受給」に関しての記載があるのはオモテ面の中央です。

で、今日はこの「繰り下げ受給」について、少しですがお話しすることにします。

なお本来は例外や細かい注意点などもある話ですので、今日のところはあくまで参考とご理解いただき実際の受給などについては年金事務所等にご相談ください。

 

「繰り下げ受給」の基本的な話

「繰り下げ受給」は最近特に話題になっています。

まあ国としては長く働いてほしいという思いが強くあるのかもしれませんが、それはひとまずおいておくとして・・・。

いわゆる老齢年金というものは原則として65歳から受給することになります。

この受給時期を遅らせてもらう代わりに少し受給額が増えるという制度が「繰り下げ受給」です。

ではどのくらい増えるのか?

本来の受給開始年齢から1ヶ月遅らせるごとに受給額が0.7%増えるということになっています。

したがって1ヶ月あたり0.7%なので1年で8.4%、「繰り下げ受給」は最大で70歳まで遅らせることができるため5年で42%増えることになります。

なお「繰り下げ受給」の請求は老齢基礎年金や老齢厚生年金の権利発生から1年待つ必要があるため実際の請求は66歳からになります。

また65歳から66歳までの間に遺族基礎年金などを受ける権利がある場合は繰り下げ請求ができないのでご注意ください。

 

ちなみに、国民年金の保険料払込は原則60歳までですが、厚生年金については厚生年金適用事業所で働く場合(わかりやすく言えば厚生年金保険料を払いながら会社で働く場合と考えてください)原則70歳まで保険料を支払いながら働くことができます。

この時「繰り下げ受給」せず老齢年金を受給しながら、厚生年金保険料を払いつつ働くこともできますが、この場合退職後に年金額が再計算されるようになります。

ただしお勤めしている間は在職老齢年金といって年金額と給与の合計とで年金受給額に制限が加わることがあります。

また「繰り下げ受給」を選択してお勤めしている場合でも、65歳時点での本来支給される厚生年金に対して在職老齢年金制度の適用があり、この65歳時点での本来支給される厚生年金から在職老齢年金制度により支給停止になっている年金部分を差し引いた部分についてのみ「繰り下げ受給」の増額対象になることにもご注意ください。

(在職老齢年金については先日こちらで少しお話ししています。)

ちなみにこの在職老齢年金制度については将来的な廃止に関する報道が出ていますが、ここでは考えないものとしますね。

 

さてこの他繰り下げ受給の特徴をいくつかあげてみます。

・基礎年金と厚生年金は別々に繰り下げの時期を選ぶことができる

・厚生年金を繰り下げている間は加給年金の受給ができない。また加給年金は繰り下げても増額しない

・いわゆる非消費支出(税金や社会保険料)が増える可能性がある

などといったことがあげられます。

単純に「繰り下げ受給」すれば最大42%増えるというのは会社員の方でいう「額面」の話ですので実際の手取り額がどのくらいになるかという点や、受給額を増やしたことによって健康保険の所得区分に影響があるようなことにも気をつける必要があります。

 

「繰り下げ」を考えるにあたって

と、今までお話ししてきたように、きちんとお話ししようとすると実はかなり細かい注意点が出てくることがわかります。

けっこう細かくて私もちょっと辟易・・・。

 

そこでまず考えることとしてまず以前にもお話ししたように65歳から年金額がどのくらいになるのかその見込額を「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」、または年金事務所などで確認することが重要です。

特に加給年金なども含めた試算を行う場合は年金事務所の窓口に赴く方がよいでしょう。

その上でライフプランを検討していただき、何歳までご自身は働くことができるのか、また手持ちの資産などを使って取り崩していくことができるのか、といったシミュレーションも必要でしょう。

そういったことを考えて「繰り下げ受給」をするのか、するのであれば何歳からにするのか、考えてみることがいいと思います。

と、言ってもなかなか難しい話ではありますが・・・。

 

ちなみに「繰り下げ受給」に限らず年金関連でよく「元を取るには・・・」という話があるのですが、これは個人的にあまり考えなくてもいいのではないかな?と思います。

「元を取るのに何年生きれば」と考えても、それは人間の寿命について考えることになるわけですからそれがいいのかな?と・・・。

私事ですが、親父はやはり「元を取る」といいつつ、自分の健康に自信がなかったのか今日のお話しの逆の「繰り上げ受給」を選択しました。

「繰り上げ受給」は「繰り下げ受給」とは反対に1か月あたり0.5%減額されます。

受給額は減ることを承知でそれでも早めにもらい始めたわけですが、親父が亡くなったのは63歳のときです。

親父はかなり若い時から働いていたので保険料はしっかり納めていたはずですが、「元」などまったく取れなかったはずです。

 

もちろん計算していただいて「元を取る」ためにがんばっていただくことが生きがいになるのであればそれもいいと思います。

ただそれよりもご自身が健在の間、しっかりと生活していくための仕組みの一つとして年金受給を考えていただければよいのではないかと考えています。

当所でもキャッシュフロー表を含めライフプランのご相談について承っております。

よろしければこちらのページをご覧いただきお問い合わせください。

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