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状況の変化に対応できるよう住宅ローンの借入額を考えてみましょう

住宅購入において市場から考えるいわゆる「買い時」というものがあるのか?私個人はずっと疑問に思っています。

私は間違っても「今、買い時です」とか「金利安いですね」というようなことは申し上げません。

これから先のことを市場のことを予測する力は私にはないので。

 

そんな中で先月2019年5月にNHKのクローズアップ現代+で「密着!住宅ローン破綻 サラリーマン危機最前線」という放送がありました。

番組ではいわゆる「働き方改革」による残業代の減少や転職による収入減で住宅ローンの返済が苦しくなってしまったケースが紹介されていました。

購入時の見立てでは長期の住宅ローンを組んでも返済が可能であるという判断をされたと思うのですが、実際にはこのように厳しい状況に至ることもありえるわけです。

 

すでに一度このブログでは住宅購入時期は市場の動向よりもご家庭のタイミングで判断しましょうという記事を投稿しました。

今日のお話しはそれとほとんど同じ話です。

でも大事な話ですし、ご相談の中でも時折出てくるお話しなので今日もこの話をしたいと思います。

 

「返済期間」は「長い」ということ

よく相場のことを気にされる方に申し上げるのは

「相場がどういう時期に購入しても完済することが重要」

ということです。

最長35年という住宅ローンの返済期間は何が起こるかわかりません。

 

約30年の「平成」は日経平均株価の史上最高値から始まりバブル崩壊、失われた10年やら20年だったり、リーマンショックもあったりとにかく様々なことがありました。

バブル期に最高で8%あった住宅ローン金利は今変動であれば1%を切るようになりました。

しかしその間、みなさんの収入があるいは所得が増えてきたかといえば必ずしもそんなことはないはずです。

つまり30年というのはそのくらい長い時間軸になります。

 

もちろんみなさんが繰り上げ返済せずに完済するというわけではありません。

理想は定年退職時には完済することですから、以前は退職金で繰り上げ全額返済ということもありました。

もちろん今でもその選択はありえますが、そもそも退職一時金も以前にくらべ金額が下がってきているという統計もあるようで住宅ローンの返済をどのように考えていくのかはなかなかに難しい面があります。

 

資料から見る「返済負担率」

このブログでも以前から何度か返済負担率のお話しをしています。

年収に対して25%で収まるようにとよく言われていて、ここでもそんな話をしてきました。

ただ現実の返済負担率はもう少し少なめでして例を二つあげてみます。

 

一つ目の例は前回も登場した家計調査年報。

そのちょっと前に公表された総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)平成28年(2016年)平均速報結果の概要」から見た数字です。

この調査によれば住宅ローン返済世帯における実収入の月平均額が609,305円(可処分所得で月平均額490,275円)に対し返済額は1世帯1か月あたりの月平均額92,945円となります。

(可処分所得については以前にこちらの投稿でお話ししています。)

この数字は賞与なども含んで平均でならした収入ですので12か月をかけて年換算すると年収ベースでおよそ730万円(可処分所得で約588万円)となります。

これに対しローンの年間返済額は1,115,340円です。

年収に対する年間返済額は約15.2%となります。

可処分所得比では約19%です。

かなり大枠での平均ではありますが、いわゆる年収の25%よりもかなり「かたい」返済負担率になっていると思う方もいらっしゃるかもしれません。

 

もう一つの例は住宅金融支援機構による「2016年度フラット35利用者調査」によるものです。

この調査によると2016年度にフラット35を利用した方の平均年収が602万円となっています。

ただし統計では年収がいくつかの区分に分けられているのですが、最も多い区分が400万円~599万円の世帯が統計全体の40.7%、399万円以下の世帯が統計全体の23.1%と平均年収よりも少ない世帯の方が6割を超える状況です。

ちなみに次に多い区分は600万円~799万円の世帯が19.7%となっています。

で、この調査での総返済負担率ですが、24.9%以下の借入となっている世帯が全体の68.7%を占めています。

19.9%以下に絞っても全体の43.5%となります。

より細かく統計を見てみると購入物件のタイプ別の融資利用者の年収と返済額を見ることができます。

物件タイプ別では新築マンション購入者の年収が最も高く世帯年収が774.4万円に対し返済予定額が月117,000円、年間1,404,000円となり年収に対する返済負担率は約18.1%となります。

(なお元の資料の返済負担率は21.1%となっていますが、これは1か月の返済予定額を世帯月収で割ったものという定義のようです。月117,000円を21.1%で割り戻し12か月をかけると6,654,028円となることから賞与等を含んでいないものと思われます。)

 

これを見ても25%よりは少ない返済負担率で借り入れているケースが多いと感じるかもしれません。

大切なことはご自身の世帯年収に対しどのくらいの負担率であれば教育費なども含め家計が苦しくならず返済していくことができるかという点にあります。

 

対応できる借入額を

冒頭にもお話ししたように残業代の減少や転職による収入減少などお仕事から得る収入はかつての年功序列時代のように上昇していくものではない、ということはどなたもお感じの事と思います。

先日もお話ししたように終身雇用の維持も難しいと大手企業の経営者の方々が口にし始めています。

借入額の考え方として世帯収入が減っても耐えることのできる金額なのかどうか、より綿密に考える必要がある時代になってきています。

25%も従来から言われてきた一つの目安ではありますが、それよりも今まで以上に自身の収入や将来見通しから見た返済額や返済期間を考え、借入額を検討する必要があると言えます。

そして繰り返しになりますが、市場のタイミングよりも各ご家庭にとって購入の準備が整ったときが購入のタイミングです。

頭金や諸経費などをしっかり準備し熟慮した借入プランを検討することが大切です。

そのためにもキャッシュフロー表の作成を一度は手掛けてみてください。

またご自分では難しいという方は当事務所までご相談いただければ幸いです。

こちらのFP業務に関するご案内ページをご確認いただきお問い合わせください。)

大きな買いものである住宅ですが、完済というゴールのことまで考えて住宅取得資金計画を考えてみてくださいね。

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