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最高裁による成年後見制度の考え方の変化に関する記事を読んでつらつら思ったこと

成年後見人の選任と報酬に関する考え方が変わるようで

成年後見制度について先月と今月朝日新聞で気になる記事が掲載されています。

見出しを確認しましょう。

「成年後見人には「親族が望ましい」 最高裁、考え方示す」

(朝日新聞デジタル2019年3月18日21時43分)

「成年後見の報酬「業務量や難易度に応じて」最高裁が通知」

(朝日新聞デジタル2019年4月3日13時00分)

 

記事によれば今年の1月最高裁判所が各地の家庭裁判所に対し後見人について、「身近な支援者を後見人に選任することが望ましい」旨や報酬についても財産額基準ではなく業務量などに応じたものにしていくよう促したとのことです。

特に一つ目の親族が望ましい旨の話については記事中にもある2019年3月18日に開かれた厚生労働省の第2回成年後見制度利用促進専門家会議における資料「適切な後見人の選任のための検討状況等について」にも記載されているところです。

関心のある方は下記にリンク先を張っておきますのでご覧ください。

厚生労働省HP内「第2回成年後見制度利用促進専門家会議(ペーパーレス)

 

上記3月18日の朝日新聞記事には後見人の割合について最高裁のまとめをグラフにしたものが掲載されています。

これによれば全体で成年後見人数は増えている傾向にあるもののその内訳においては第三者後見人が増加する一方で親族後見人の数は年々減っているようです。

ちなみに裁判所HP内「成年後見関係事件の概況 平成30年1月~12月」の「成年後見人等と本人との関係について」によれば親族が成年後見人に選任されたケースは全36,298件のうち8,428件と全体の23.2%に過ぎず昨年の26.2%よりも減っています。

(詳しくは次のリンク先裁判所HP内「成年後見関係事件の概況」をご覧ください。)

 

厚生労働省は「成年後見制度利用促進」を考えてウェブサイト内にそのタイトルのページを作ってまとめています。

とはいえ本当に成年後見の利用が進んでいくのか疑問が残るということについてはちょうど2年ほど前に当ブログの「成年後見制度の利用はすすんでいくのか?」という投稿でお話ししています。

この投稿でお話しした以外にも冒頭の4月3日朝日新聞の記事のような専門職後見人による報酬の問題や専門職後見人と親族との間で関係性がうまく作れないことといった問題点があります。

(報酬については「成年後見制度の報酬の基本」という投稿でお話ししていますので、リンク先をあわせてお読みいただければ幸いです。)

また親族後見人でも専門職後見人でも横領の問題に関する心配はあるでしょう。

先程の3月18日朝日新聞記事によれば2014年に親族による不正事案は全国で809件、約51億1千万円に及んだそうです。

またつい先日2019年4月4日毎日放送さんのニュース記事によれば堺市の行政書士が成年後見人であるにもかかわらず被後見人の方の財産から130万円を着服したという報道がなされています。

同業者として恥ずかしいお話しですが、後見制度支援信託ができたにも関わらずこういう事案を耳にすれば依然として成年後見制度に関して不安になる方もいらっしゃるものと思います。

 

様々な選択肢を検討してみる

仕事柄いろいろと高齢者の方に関するお話しを耳にすることもありますが、例えば金銭的に余裕もなく身寄りもいないという方もいらっしゃるわけで、いわゆる「市民後見」の必要性はこれから増していくと思っています。

また高齢者に関する地域での相談窓口として、地域包括支援センターとお話ししていくようなこともあるでしょう。

それでも地域にどれだけこの担い手の方がいらっしゃるのかということも考えると、現場ベースでは難しい点もあるように思います。

利用促進を進めたいと思う考え方と現場の状況とではまだまだ離れている部分は大きいのかもしれません。

 

私自身も後見制度については疑問に思う点もありますし、最近取り上げられることの多い民事信託などもこの後見制度の問題点を解決するための方法の一つとして考えられることの一つなのでしょう。

もちろん民事信託が有効に機能する側面もあるとは思いますが、そもそも高齢者である本人がどこまで信託のスキームを理解できるのかという点は心配なところです。

 

また認知症などになり法定後見を申し立てなければいけないような状況になる前に任意後見契約を結ぶということもあります。

任意後見人の候補者は親族でも専門家でも本人が選ぶことができるわけですから本人の気持ちをしっかり汲むことができるといえます。

ただし任意後見であっても実際に後見の申立てがなされれば、任意後見監督人が選任され監督人への報酬を支払う必要は出てきますし、任意後見人には取消権がない、といったデメリットは発生します。

何より大きな心配点として、信頼できる人を候補者にしなければ本人の判断能力が低下しても任意後見の申立てがなされない結果、候補者が財産を自分のものにしてしまうような事態も考えられます。

東京都福祉保健局がこの事例の注意喚起をホームページで行っているほどです。

(リンク先:東京都福祉保健局ホームページ「任意後見制度に関係する悪質な犯罪行為にご注意ください」)

 

判断能力が衰えてきた高齢者がどう地域で暮らしていくのか、ベストな解決方法というのは存在しないと私は思っていますし、法定後見制度も依然として厳しい側面はあるでしょう。

それでも以前にも話したのですがかつての禁治産、準禁治産の制度に比べればずいぶんと使いやすい制度にはなっているとは思います。

ベストな制度はありませんが、それぞれの方の状況に応じたベターな選択を考えていくしか今のところは方法がないのかなと考えています。

つらつらととりとめのないお話しをしてきましたが、高齢者の方の判断能力が衰える事態に備えるためのご相談も当事務所ではお受けしています。

ぜひ一緒に考えさせていただければ幸いです。

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