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改正相続法についてなるべくわかりやすく話してみる。その5「相続の効力等に関する見直し」

改正相続法についてのお話しを続けています。

前回は4回目として「遺留分制度の見直し」について取り上げました。

ちなみに初回は「20年以上婚姻した夫婦間の居住用不動産の贈与」についてのお話しをしました。

また2回目はいわゆる「預貯金の仮払い制度」を取り上げました。

前回は「相続開始後の共同相続人による財産処分」というテーマについてお話ししました。

また「自筆証書遺言の様式緩和」についてはこちらの投稿でお話ししています。

今日は5回目です。

取り上げるのはちょっとわかりにくいお話しですが「相続の効力等に関する見直し」というテーマについてです。

改正民法では第899条の2関係になります。

 

ポイントは「早めに登記をしましょう」

今日のお話しはちょっと専門的で登記のお話しです。

そして登記のお話しになりますからこれは司法書士の方の専門です。

私がお話しするのは差し出がましいのですが、前職が司法書士行政書士事務所のスタッフであったことは自己紹介でもお話ししていますので可能な範囲でお話しさせていただきます。

なお実際に相続の登記に関する相談は司法書士の方にお願いいただくことになりますが、当所でもご紹介可能ですのでお気軽にお問い合わせください。

さて冒頭に今回のお話しに関するポイントを言ってしまうと

「早めに登記をしましょう」

ということになります。

 

まずは例によって法務省HP「法及び家事事件手続法の一部を改正する法律について(相続法の改正)」より今回はそのページ内にあるPDF資料からポイントを引用します。

 相続させる旨の遺言等により承継された財産については,登記なくして第三者に対抗することができるとされていた現行法の規律を見直し,法定相続分を超える部分の承継については,登記等の対抗要件を備えなければ第三者に対抗することができないこととする。

 (法務省HP「法及び家事事件手続法の一部を改正する法律について(相続法の改正)」内「相続の効力等に関する見直しについて【PDF】」より引用)

 

なんだか話が非常にわかりにくい表現ですね。

今回も事例でお話ししてみましょう。

親が亡くなり相続人は長男次男の2人とします。

遺言書で親の不動産は長男が相続するものになっていたとします。

このとき例えば次男が遺言書を無視して持分2分の1ずつの法定相続分で登記したとします。

ちなみにこの2分の1ずつの法定相続分での登記はいいか悪いかの話は別にして次男ひとりからの登記申請は可能です。

(いわゆる「保存行為」なんていう言い方をします。)

で、この後次男が自分の持分2分の1を第三者に売却して第三者が登記をしたとします。

まあ持分だけ買う人がいるかどうかというご指摘はあろうと思いますが話をわかりやすくするためとお考え下さいませ。

 

話を戻します。

この時本来であれば長男が遺言によってこの不動産を自分のものにすることができるはずですよね。

でも第三者がすでに法定相続分を超えた部分について登記をしていますよね。

この時長男と第三者はどっちが自分の権利を主張できるでしょうか?

 

この時、今まででしたら遺言書があるので長男が登記なしで権利を主張できたんです。

ところが今回の改正によってこのルールが変更になりました。

つまり登記した第三者が権利を主張できるようになったんですね。

これが冒頭に申し上げた「早めに登記をしましょう」というポイントにつながることになります。

 

制度はこれからも変わっていく?

さて今回のポイントは「早めに登記をしましょう」というお話しだと述べました。

というのも現在のルールでは所有権移転の登記などいわゆる「権利の登記」と呼ばれるものについてはその義務がないからです。

しかしすでに多くの方がご存知のようにいわゆる「所有権不明土地」問題が顕在化している中でこれからますます相続登記の手続きが厳格化されていくことになると考えられます。

 

すでに2019年2月28日付日本経済新聞夕刊で

「相続登記義務化を提言 法務省が報告書、謄本提出不要に」

という見出しの記事が掲載されました。

記事によれば一定期間内であれば戸籍や除籍謄本類の提出を不要にしてでも相続登記ができるようにする方向性を打ち出しているようで、いかにこの問題が深刻なのかよくわかるお話しです。

相続登記の義務化や所有権を放棄する制度などが報告書で提言されているようです。

冒頭でもお話ししましたが私はこの分野が専門ではありませんが、今後も改正が進んでいく可能性が大きい分野であると思われます。

引き続き登記や所有権放棄の仕組みがどうなっていくのかなど今後も注視していきたいところですし、みなさんも気にかけておいていただければと思います。

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