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「遺留分侵害額請求権」って何だろう?

改正相続法についてお話しを続けていますが、その前提として前回は「遺留分」についてお話ししました。

本来であれば改正相続法の「遺留分の見直し」のポイントに進みたいところですが、その前にもう一つお話ししていなかったこととして、今まで「遺留分減殺請求権」といわれていたものがあります。

改正法では変更があったため「遺留分侵害額請求権」となりました。

この辺りの改正の概要については次回に譲ることにして、今日はこの「遺留分侵害額請求権」についてお話しすることにし、その基本を確認することにします。

 

遺留分侵害額請求権の基本

まず遺留分侵害額請求に関する条文を見てみます。

改正民法第1046条第1項です。

第1046条

  第1項

 遺留分権利者及びその承継人は、受遺者(特定財産承継遺言により財産を承継し又は相続分の指定を受けた相続人を含む。以下この章において同じ。)又は受贈者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の支払いを請求することができる。

この条文の主語は「遺留分権利者及びその承継人は」となっています。

この意味は遺留分権利者となっている人だけでなく例えば遺留分権利者の相続人も請求することができる、ということです。

また「特定財産承継遺言」という遺言は難しい言葉のようですが通常よくある、例えば

「相続財産中、次の預貯金債権については長男誰々に相続させる。

  ○○銀行□□支店普通預金口座1111111」

というような遺言をイメージしていただければけっこうです。

遺留分を侵害された相続人はこのような遺言に基づき相続した相続人や受贈者、受遺者などに対して侵害額を請求することができることになります。

この権利が「遺留分侵害額請求権」ということになるわけです。

ただこのお話しについては改正法のポイントになりますので、先ほど申し上げたように次回お話しすることにします。

 

ところでこの「遺留分侵害額請求」は具体的にどういう方式で行うのでしょうか?

以前の遺留分減殺請求の時と同様に「形成権」と考えられますので、実は方式について特に決まりはない、というのが答えと言えば答えになります。

意外に思う方もいらっしゃるかもしれませんね。

減殺請求の方法について、最高裁判所の判例に次のようなものがあります。

 「遺留分権利者が民法一〇三一条に基づいて行う減殺請求権は形成権であつて、その権利の行使は受贈者または受遺者に対する意思表示によつてなせば足り、必ずしも裁判上の請求による要はなく、また一たん、その意思表示がなされた以上、法律上当然に減殺の効力を生ずるものと解するのを相当とする。

 (裁判所ウェブサイト内 最高裁判例 昭和41年7月14日 より一部引用)

ここにもあるように裁判でなくても、遺留分減殺の意思表示をすればいいということになっていました。

とはいえこの権利を行使するということは裁判になる可能性も高いということになるでしょう。

実際には今までも相手方に対して内容証明郵便を使うことが一般的でしたし今後も同様になるのではないでしょうか?

ただこれらを行使しようと考える場合は後々訴訟になるケースも考えて弁護士の方にご相談されることになるのが通常ということになるでしょう。

 

遺留分侵害額請求はいつまでにするのか?

さてもう一つ遺留分侵害額請求はいつまで行うことができるのか?ということです。

これについても民法の条文を見てみましょう。

改正民法第1048条です。

第1048条

 遺留分侵害額の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から一年間行使しないときは、時効によって消滅する。

 相続開始の時から十年を経過したときも、同様とする。

これは改正前と「減殺」が「侵害額」に変わったことに関する言葉の変更がある程度で従来と一緒です。

相続が発生して相続人の一人が、自分の遺留分が侵害されていることを知って、これが減殺できるとわかった時から1年というのが一つの考え方です。

また相続そのものが発生してから10年経ってもこの権利は行使できなくなります。

 

とざっとですが、前回、今回と遺留分及び遺留分侵害額請求権のお話をしました。

この請求が行われるときは先程も触れましたが相続人間で争いが起きることになるときでしょう。

そのような事態を避ける上でも、各ご家庭の事情もあるかとは思いますが、相続人のみならず、遺言書を作る方も、遺留分の存在を考慮して侵害額請求による争いが起きないような遺言書を作成することをぜひ考えていただきたいところです

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