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改正相続法についてなるべくわかりやすく話してみる。その3「相続開始後の共同相続人による財産処分」

ちょっと間が空きましたが、このところ改正相続法についてお話しをしていきます。

初回は20年以上婚姻した夫婦間の居住用不動産の贈与についてのお話しでした。

前回はいわゆる預貯金の仮払い制度を取り上げました。

また自筆証書遺言の様式緩和についてはこちらの投稿でお話ししています。

さて今回は「相続開始後の共同相続人による財産処分」というテーマについてお話しします。

ちなみに改正後の条文では906条の2という規定になります。

 

共同相続人の一人が使い込みをしたら・・・

ポイントについて法務省HP「法及び家事事件手続法の一部を改正する法律について(相続法の改正)」の中にあるPDF資料より引用します。

相続開始後に共同相続人の一人が遺産に属する財産を処分した場合に,計算上生ずる不公平を是正する方策を設けるものとする。

(法務省HP「法及び家事事件手続法の一部を改正する法律について(相続法の改正)」内「相続開始後の共同相続人による財産処分について【PDF】」より引用)

 

要点を読んでも今一つピンとこないですよね・・・。

一つ例を出して考えてみますね。

親が亡くなり相続人が兄弟2人だったとします。

相続財産は預貯金のみで4,000万円とします。

この時法定相続分は各人2分の1ずつですから金額では一人2,000万円ということになります。

ところがこの時兄がひそかに2,000万円を先に引き出してしまったとしましょう。

残り2,000万円を半分ずつ分けたのでは弟は1,000万円しかもらえないことになってしまいますよね。

いい話ではありません。

 

そこでこのケースにおいて弟は兄の同意なしに、兄がひそかに引き出した2,000万円を遺産に戻して遺産分割の対象として考えることができるようにした、というのがこの規定のポイントになってくるわけです。

ちなみに現状でもこういうケースの場合、弟側は兄側に損害賠償や不当利得の返還を求めることができる、という形で取り戻すようなお話しにはなるようです。

 

ところで今回の改正について気になるのは、例えば先ほどのケースの場合、兄側が不正な引出しの事実を認めないようなこともありえるという点です。

つまり兄弟間で問題がこじれてしまう紛争状態に至る可能性が高い案件になりうるわけです。

個人的にはこの案件は先程の損害賠償や不当利得の返還などというようなお話しも含め弁護士の方へご相談に行っていただくことが多くなることは理解していただきたいところです。

 

親のカードなどを預かっているような人は注意

ところで、先程の例では兄が何らかの方法でひそかに引き出した形でした。

しかしケースによっては年老いた親と一緒に暮らしていることから親の通帳やカードなどを実質的に預かって管理している方もいると思います。

 

このとき例えば預かっているカードを利用して親の死後に勝手に預金を引き出したような場合、それが兄の生活費や葬儀費用に当てる意味合いであったとしても、兄弟間で関係がうまく言っていないと後々面倒な事態になることも想定されます。

(というか「ひそかな出金」になるケースもこの預かっていたカードを利用する可能性が高いように思えますが・・・。)

したがってこのような場合は新しいルールにのっとって、前回お話しした「預貯金の仮払い制度」を利用するなどして必要な資金を充当することが通常になると思われます。

 

ただし「預貯金の仮払い制度」を利用しても必要以上の引き出しをすれば結局使い込みのように思われてしまうケースもあるでしょうから、その金額についても十分気をつけて適正な額を引き出すようにすべきでしょう。

さらに上記のケースで親が認知症等になり判断能力が難しい方の場合は、いろいろとデメリットのあることは否めませんが、それでもやはり将来的なトラブル防止のためにも、成年後見制度の利用を検討することも視野に入れる必要があると思います。

必要な資金の準備は親の生前に整えておくことが基本であり前回同様ここでも大切になってくるということをご理解いただければ幸いです。

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