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「法律上の遺言」と「メッセージとしての遺言」

先日女優の市原悦子さんが亡くなられました。

「遺言により」樹木葬でご主人の隣に埋葬されるとのことでした。

市原さんと言えば様々な作品がありますが、時代劇好きの私としましては私の生まれた年に放送された「木枯し紋次郎」シリーズに2回出演されていて、これを再放送で拝見しました。

特に最初の出演回である「見返り峠の落日」が印象的でした。

市原さん演じる嫁ぎ先を離縁となり実家にもどってきた娘とその妹が紋次郎と関わっていくお話しであったと記憶しています。

あらためてご冥福をお祈りいたします。

 

さて先ほど「遺言により」とかぎかっこでくくりました。

今日はここでいうこの「遺言」について、ちょっと野暮な内容になり恐縮ではありますが、少しお話しすることにします。

 

「法律上の遺言」はできることが決まっている

「遺言」というときに私たち士業者は法律にいうところの「遺言書」を頭に浮かべる方が多いはずです。

ただこの法律、すなわち民法にいうところの「遺言」はこれによってできることが民法によって決まっています。

例えば「土地建物を妻に相続させる、預貯金のうち○○銀行の普通預金は長男に相続させる」というような遺産分割方法の指定は遺言によって行うものですし(民法908条)、お子さんを「認知」することは生前に戸籍法の届出によって行うことも遺言で行うこともできると民法に定められています。(民法781条)

 

そしてこの民法によって決められている中に「自分が亡くなったらこのお墓に入れてほしい」というような意思を表示することは入っていません。

ちなみにこのブログでも以前にお話ししていますがいわゆる「祭祀主宰者」の承継、「祭祀承継者」については「遺言」によって定めることができます。

いわゆる「墓守り」をする人を「遺言」で定めることができるわけです。

この「祭祀承継者」に指定された人は、原則的にこれを拒むことはできないと考えられています。

ただし実際に、例えば年忌法要などを主宰することを強制することまではできないというのが一般的な考え方のようです。

 

話は戻りますが、先ほどお話しした「自分が亡くなったらこのお墓に入れてほしい」というような内容は遺言書に書いても拘束されないものになります。

自筆証書遺言に書いておくこともできるかとは思いますが、必ずそうしなくてはいけないわけではないわけです。

なお本年2019年1月13日から自筆証書遺言の様式が一部緩和されています。

詳しくはこちらの投稿をご覧ください。

 

希望やお願い事、感謝の気持ちを伝える「メッセージとしての遺言」

では冒頭の話、つまり「遺言により樹木葬」というのはどういうことなのでしょうか?

ここでいう「遺言」とは法律上の意味合いではなくいわば「メッセージ」ということではないかと思います。

「こういう形で埋葬してほしい」とか

「葬儀はこういう風に行ってほしい」とか・・・

こういった内容は「法律上の遺言」のお話しではありません。

でもとても大事なことであると私は考えます。

言ってみればあとをお願いする方々への「メッセージとしての遺言」となるのではないでしょうか。

 

この「メッセージとしての遺言」は法的なものでありません。

ですからどういう方法でもかまわないことになります。

あとのことをお願いできる方がいるのであればいわゆる「エンディングノート」などを利用して死後のことをお願いする方々にわかるようメッセージを残しておくことがまず一つの方法でしょう。

埋葬の形であったり、契約している納骨堂などがあればその連絡先などであったりといったことを、あとを託す方にわかるように記載しておくことはとても有意義なことですよね。

託された方にとってはこのメッセージを見ればわかるようになっていることになるわけで、託された方を守るという意味合いもあわせて持つものではないかと思います。

 

あとを任せる方がいない、という場合は後顧の憂いのないようにお願いできる方を探してその方といわゆる「死後事務委任契約」を結ぶという形になろうかと思います。

お願いできる方は、基本的には自分自身よりも若い方のほうが望ましいでしょうし、何より信頼できる方であることは大前提となるでしょう。

なかなかそういう方を探すことは難しいかもしれませんが、そういう団体などもございます。

一度問い合わせしてみることなどもいいかもしれませんし、当事務所でもご相談は承っております。

 

あまり難しい話をするとお話ししたように野暮なことになってしまうので、ほどほどにしておきます。

ただ民法上の遺言は特に遺産をどう分けるかにおいて大切ではありますが、自分自身が何をどう考えどう伝えたいか、自分の死後の希望があればどうしてほしいかといったメッセージ性のある遺言もとても重要だと思います。

この二つの「遺言」をしっかり考えておくことが、自身の希望や気持ちをつたえ、残された方々が困らないようになることにつながりはずです。

ぜひ「法律上の遺言」と「メッセージとしての遺言」の二つ、検討されてはいかかがでしょうか。

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