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万一働けなくなった場合にそなえて知っておきたい公的保障制度

ライフプランのご相談をお受けしている際時折出てくるお話として

「働けなくなったときが心配」

という声があがります。

そのようなケースに備えて保険商品も販売されています。

とはいえ公的な制度の存在を考えておけば大きな金額の保険に入る必要はないはずです。

以前にこのブログでも死亡保障に備えた必要保障額のお話をさせていただきましたが、「働けなくなった」場合の備えについてもこの必要保障額と同じような考え方でいいのでは、と考えるわけです。

そこで今日はこの「働けなくなった」場合にどのような公的保障制度があるのか少し長い上に概要程度になりますがお話しすることにします。

 

「傷病手当金」とはどんな制度か

最初にお話するのが「傷病手当金」といわれる制度です。

これは健康保険の制度で、会社にお勤めの方がこの制度の対象となります。

支給されるための要件としては

  • 業務外の事由による病気やケガのため療養中であること
  • 療養中であるために仕事に就けないこと
  • 休業中に賃金や給料が受けられないこと
  • 連続した3日間の休業期間(待機期間)を含み4日以上休業したこと

といったことがあげられます。

 

細かい要件があるようにみえますが、ポイントはまずお仕事「以外の」病気やケガが対象ということです。

お仕事による病気やケガとなればこれは後ほどお話しますが、いわゆる「労災」の対象になるわけです。

 

もう一つ、これはFP試験のテキストなどにも良く出るところですが、「待機期間」といわれる連続3日間の休業期間が必要とされる点です。

「連続3日間」ですから極端な話1日おきに出勤と休業を繰り返してしまうとこの「待機期間」がいつまでも整わないことになってしまい手当金が支給されないわけです。

 

「傷病手当金」の支給期間は原則として支給開始日から最長で1年6ヶ月間となっています。

ただ後ほどお話しする「障害年金」が支給されることになった場合は、例外的に差額が支給されるケースはありますが、原則として「傷病手当金」は支給されなくなります。

 

また支給額は支給開始日前12ヶ月間の各標準報酬月額を平均した額を30日で割った金額の3分の2相当額となります。

わかりにくいためかよく「給与の約3分の2」などといわれますのでこれを一つの目安として考えていただければと思います。

 

「障害年金」の概要

二つ目にお話しするのが「障害年金」という制度です。

この障害年金は年金に加入している「被保険者」つまり働くみなさんが、病気やケガが原因で障害を負ってしまい回復が難しくその症状が今後も改善されないような状況となった場合に支給されるものです。

 

では障害年金の受給資格はどうなっているのでしょうか?

一般的には特に重要とされる要件が3つあります。

これもFP試験のテキストにもよく出てくるところでもあります。

3つの要件は、

①初診日

②障害認定日

③保険料納付

です。

 

まず①の初診日。

これは先ほどお話した障害を負うこととなった原因の病気やケガをお医者さんではじめて診療を受けた日のことです。

この初診日がなぜ重要かといえば次の②障害認定日に影響を与えることになるからです。

 

②障害認定日は①初診日から1年6ヶ月を経過した日か1年6ヶ月以内に症状が固定した日が該当します。

そしてこの②において障害の重さがどのくらいになるのか、国の定めによるいわゆる「障害等級」に沿って障害の認定がなされることになります。

「障害等級」は1級~3級までとなり1級がもっとも重いものになります。

1級は言ってみれば常に介助を必要とするような状態です。

 

最後に③の保険料の納付という要件です。

これについては日本年金機構のホームページの記載を引用することにします。

(1)初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の2/3以上の期間について、保険料が納付または免除されていること

(2)初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと

(日本年金機構ホームページ内「障害年金」に関するページの「障害基礎年金」の項より引用)

いろいろ書かれていますが、特に(2)の要件に注目して初診日の前々月から1年前にさかのぼって保険料の未納がなければ障害年金の受給資格があるということになります。

 

さて先ほどから「障害年金」と一言でくくっていますが、実は「障害年金」にも老後の年金と同じように「基礎年金」と「厚生年金」とがあります。

すなわち「障害基礎年金」と「障害厚生年金」です。

 

まず「障害基礎年金」ですが、先ほどの3つの要件のうち、②の障害認定日において「障害等級」の1級もしくは2級に該当していることが要件となります。

先ほど「障害等級」について触れた際に1級から3級まであるとお話ししましたが、障害基礎年金については3級では受給要件を満たしませんのでご注意ください。

 

「障害厚生年金」については厚生年金に加入中で65歳未満の場合が支給要件となります。

注意点は「障害基礎年金」と違って「障害厚生年金」は障害等級3級まで対象となり、また3級よりも障害が軽度である場合に障害手当金という一時金が支給されることになっている点です。

 

 

業務上の災害による病気やケガは「労災」

最後にいわゆる「労災」について少しだけお話します。

ご存知の方も多いと思いますが、「労災保険」は業務上の災害や通勤災害によって病気やケガを負った場合に給付される制度です。

細かな説明は省きますが、給付の内容にはいくつかの種類があります。

 

病気やケガが治るまで自己負担なしで(通勤災害の場合は原則200円の自己負担)で受けることのできる「療養給付」。

療養のために4日以上休んで賃金が受けられない場合、給付基礎日額の80%(休業特別給付金20%を含む)が支給される「休業給付」。

病気やケガによって障害が残った場合にその程度によって支給される「障害給付」といった給付が主なところです。

 

労災の注意点は個人事業主や経営者は対象にならないということです。

ですから仕事が原因で病気やケガを負っても自営業者は労災からの支給を受けることができないことになります。

 

なぜ自営業者は働けなくなったときの備えを厚くする必要があるのか?

見てきたように健康保険による「傷病手当金」の存在や障害年金も老後の年金と同じように「厚生年金」に加入し、労災の対象にもなるなど、会社員の方のほうが手厚い印象を受けることと思います。

したがってお勤めの方は不安になりすぎて過度に保険で備えすぎないようにしましょう。

保険料を貯蓄に回し公的保障制度とセットで対応することなども検討してみてください。

 

逆に自営業の方は市区町村の国民健康保険であれば「傷病手当金」はなく、障害年金も万一の場合に「基礎年金」のみの受給となり、労災の対象にもならない、となれば心もとないところもあるでしょう。

このあたりがよく言われているように「会社員よりも自営業者の方のほうが働けなくなった場合のリスクにしっかり備えておく必要がある」という指摘を受けるところです。

就業不能保険や所得補償保険などの加入を検討して万一の事態に対する備えを厚くすることを考えることも一案となってきます。

 

いずれにしてもみなさんのお勤めの形や収支の状況によって対応は変わってきます。

まずこういった公的制度の存在を知っていただき保険の加入などを検討していただくと保険料の負担なども軽減できるのではないでしょうか。

また今日お話ししたような内容について「我が家の場合はどうだろう」と思う方はぜひ当事務所にご相談ください。

詳細はこちらのページをご確認の上お問い合わせください。

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