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2019年(平成31年)1月から自筆証書遺言は何が変わるのか?

今年平成30年(2018年)の7月に約40年ぶりの相続分野に関する民法などの改正が行われました。

すでにいろいろな媒体でも取りあげられていますのでご存知の方も多いと思います。

法務省のHPによれば全部で6つの改正項目があげられています。

参考に法務省HPの当該ページについて下記にリンク先をあげておきますね。

 法務省HP内「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律について(相続法の改正)

このページ内の「相続法改正の概要について」というPDFに6つの改正項目がまとめられています。

これを媒体によってはさらに7つや8つといった形でポイントを分けて説明しているようです。

では先程の法務省HPの概要に沿ってまず項目6つを確認しましょう。

  • 第1 配偶者の居住権を保護するための方策
  • 第2 遺産分割等に関する見直し
  • 第3 遺言制度に関する見直し
  • 第4 遺留分制度に関する見直し
  • 第5 相続の効力等に関する見直し
  • 第6 相続人以外の者の貢献を考慮するための方策

というようになっています。

ただこれらの各項目は効力の生じる時期、施行期日に違いがあります。

このうち最も早く施行される項目が「第3 遺言制度に関する見直し」の一部ということになります。

すでにご承知の方もいらっしゃるかと思いますが、いわゆる「自筆証書遺言」についてのルール変更に関する項目です。

これはこの改正の公布日(平成30年7月13日)から6ヶ月を経過した日とされ、先程の法務省HPの概要では来年平成31年(2019年)1月13日が施行期日となっています。

今日は平成30年10月30日ですからもう2ヶ月半ぐらいですね。

そこで今日はこの自筆証書遺言のルール変更についてお話することにします。

 

「財産目録」はパソコン等で作成したものでも通帳のコピーなどを添付してもよい

自筆証書遺言の改正におけるもっとも大きなポイントは「財産目録」というものを添付しこれについては「パソコンなどで作ってもかまわないようになった」ということです。

今まで自筆証書遺言においては、不動産や預貯金の口座、その他証券類なども手書きで記入する必要がありました。

「財産目録」とすることもないわけではなかったのですが、これも今まではすべて手書きだったわけです。

けっこう大変な作業ですよね。

そこでこの部分については「パソコンを使って作成してもかまわない」ということになったわけです。

またパソコンで作る代わりに例えば預貯金については通帳のコピー、不動産については法務局の登記事項証明書(かつての登記簿謄本にあたるもの)といったものでも大丈夫になりました。

ですから遺言書を作ろうと考えている方はご自身でこういった資料を集め、財産目録として利用することも可能なわけです。

 

ただし、この手書きでなくても良くなったのはあくまで「財産目録」の話です。

ですから遺言書の「本文」は変わらず自分自身で書かなければなりません。

また先ほどの「財産目録」ですがこれには各ページに遺言者自身の署名押印が必要になります。

このあたりを新たな条文にて確認してみましょう。

新民法968条第2項です。

 前項の規定にかかわらず、自筆証書にこれと一体のものとして相続財産(第九百九十七条第一項に規定する場合における同項に規定する権利を含む。)の全部又は一部の目録を添付する場合には、その目録については、自書することを要しない。この場合において、遺言者は、その目録の毎葉(自書によらない記載がその両面にある場合にあっては、その両面)に署名し、印を押さなければならない。

両面印刷などで1枚の紙の両面に印字した「財産目録」は両面に署名押印が必要になっていることが条文には明記されています。

 

今までと変わらず注意する点

さてこの「財産目録」ですが、作成時の注意点において今までと変わらない点があります。

特に不動産関係において気をつけていただきたいのですが、相続発生時の名義変更などに使用できるものであるためには、住所ではなく地番や家屋番号といったものをきちんと記載する必要があるという点です。

と同時に遺言者ご自身でも忘れてしまう可能性があるものがいわゆる私道持分やゴミ捨て場といった土地持分の存在です。

また旧住宅都市整備公団の区分建物などの場合、集会所などの持分を所有していることもあり、こういったものも忘れずに「目録」に残しておく必要があります。

こういったことは今までの自筆証書遺言を作成する点と変わるものではありません。

お手元のいわゆる「権利証」などで地番や家屋番号などをきちんと確認するようにしてください。

 

その他以前にこのブログで自筆証書遺言についてのお話しをしていますが、大きな注意点は変わらないと思いますので下記の記事も併せてお読みいただけると幸いです。

こんな自筆証書遺言は大丈夫?

こんな自筆証書遺言は大丈夫?~その2~

こんな自筆証書遺言は大丈夫?~その3~

また自筆証書遺言の訂正方法も基本的には変わりません。

これは新たな「財産目録」も従来の訂正方法に従うことが改正後の新民法968条第3項に明示されていますのでご注意ください。

下記は以前にこのブログで訂正方法についてお話ししたものですのでこちらも併せてご覧いただければ幸いです。

意外と大変な自筆証書遺言の訂正

 

「保管制度」のスタートはもう少しあと

さてこの改正とあわせて遺言書を法務局にてあずかる「自筆証書遺言保管制度」も今回の改正で新たに設けられました。

ただ注意していただきたい点があります。

それはこの「自筆証書遺言保管制度」の施行日が、先ほどの改正公布日(平成30年7月13日)から「2年を超えない範囲内において政令で定める日」とされていることです。

この制度がスタートすると自筆証書遺言の紛失や隠蔽、改ざんなどの防止が期待でき、またいわゆる「検認」が不要になるため自筆証書遺言が活用しやすくなると考えられていますが、今までお話してきた自筆証書遺言の形式の変更と同時に始まるものではない、という風に現状では考えられますので注意していただきたいところです。

ちなみにこの保管制度の対象となる自筆証書遺言ですが、封のされていないもので別に法務省令で定める様式に従って作成されたものになります。

この保管制度についてはまた改めてお話をすることにしますが、現状においては年明けに法務局に自筆証書遺言を持っていてもまだ預かってはもらえないことになりますのでお気をつけください。

遺言書も含め終活全般の心配事や悩みなどある方はぜひ当事務所までご相談ください。

詳細はこちらのページをご確認いただきお問い合わせいただければ幸いです。

 

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