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夫婦二人の毎月の老後資金はいくらかかるのか、二つの出典から考える

久々にライフプランに関するお話しを。

ライフプランのご相談を受けている中で特に私と同世代である40代以降のいわゆる「現役世代」といわれる方々から時折いただく質問として次のようなものがあります。

「退職後の生活費はいくらぐらい見ておけばいいのでしょうか?」

この質問が出てくるあたりにリタイア後の生活費に関する不安というものがあることは否めません。

今日は特にご夫婦二人暮らしの場合における老後の毎月かかる生活費についてお話ししていくことにします。

 

「家計調査年報」と「生活保障に関する調査」

退職後毎月いくら生活費がかかるのか、という点についてはいろいろな見解があります。

その中で代表的な出典として用いられることの多いものを二つご紹介します。

一つは総務省が毎年発表している「家計調査年報(家計収支編)」の家計の概況というもの。

もう一つは公益財団法人生命保険文化センターが3年に1度発表している調査報告「生活保障に関する調査」内の「老後生活に関する意識」という項目に出てくるものです。

興味のある方はそれぞれのHPより閲覧してみてください。

 

「家計調査年報」のおける「高齢夫婦無職世帯」の収支

まず「家計調査年報」から見ていきましょう。

平成29年の「高齢夫婦無職世帯」という区分における支出の状況です。

なおこの「高齢夫婦無職世帯」という定義ですが、この年報によれば「夫65歳以上,妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯」ということになっています。

この定義が現状と当てはまるのかどうかはさておきひとつの参考として考えていただければと思います。

 

さてこの「高齢夫婦無職世帯」の支出の状況ですが、「消費支出」と呼ばれるものが235,477円となっています。

それから「非消費支出」と呼ばれるものが28,240円となっています。

あわせて263,717円となり、これが老後は最低約27万円かかる、などといわれる際に用いられる金額だと考えられます。

ちなみに「消費支出」というのは日頃我々が生活をしていく上で支払っていく食費とか水道光熱費などといったものが入ってきます。

これに対して「非消費支出」というものはいわゆる「税金」や「社会保険料」と呼ばれるものです。

言ってしまえば消費支出に該当している部分は、本来であれば現役時代の「手取り」とも言われる「可処分所得」でまかなう必要のある金額です。

したがって実際に自ら使用する金額となると先ほどの「235,477円」がひとつの目安となるでしょう。

ちなみにこの「235,477円」のうち食費に関する割合が27.4%となっていますので計算すると約64,520円、水道光熱費が8.2%ですから約19,309円となっています。

なおこの中には住宅ローンの返済は含まれていませんので、仮に定年後も住宅ローンの返済が残っているようなケースにおいては支出がさらに大きくなることに注意が必要です。

 

さて先ほど「「可処分所得」でまかなう」と申し上げましたが実際にはどうでしょうか。

これらの世帯の方々の実収入はこの年報によれば「209,198円」となっていて、このうち可処分所得は「180,958円」となっています。

先ほどの「消費支出」「235,477円」からこの「可処分所得」「180,958円」を差し引くと可処分所得が54,519円不足することになります。

つまりこの年報にいう老後の月々の収支においてはこの毎月54,519円、年換算で654,228円が不足する金額であり、貯金を取り崩すなどなんらかの対策を施していく必要が出てくる部分になります。

ちなみに。

仮にここから30年分のこの不足額を準備するとすれば

年654,228円×30年=19,626,840円

となり約2,000万円が不足する計算となります。

もし老後の月々の収支をこれまでお話ししてきた金額で考える場合、先程の夫65歳、妻60歳から30年間であと2,000万円を現役時代に準備する必要が出てくるわけです。

 

「ゆとりある老後生活費」とはどんな内容のものか

さて「家計調査年報」の数字にもとづいてお話ししてきましたが、今度はもう一つの公益財団法人生命保険文化センターの調査報告「生活保障に関する調査」内の「老後生活に関する意識」における数字を見てみましょう。

こちらは俗に「ゆとりある老後生活費」などというような紹介がされることの多い金額で、先程の「家計調査年報」の金額よりも多めの金額になっています。

 

この調査は調査の対象となった方々に、まず夫婦二人で老後生活を送る上での必要と考えられる最低生活費を直接現在の金額で例えば「20万円」とか「24.2万円」といった数字を質問票に記入していただく形式をとっています。

さらに経済的にゆとりのある生活を送るためにこの金額にいくら上乗せする必要があるかも同じように直接現在の金額で聴いています。

 

そしてこれによると「老後の最低日常生活費」の集計による平均額が22万円、「老後のゆとりのための上乗せ額」の集計による平均額が12.8万円となっています。

合計すると34.8万円になりますが、別途「ゆとりある老後生活費」としては平均34.9万円となっていますので合計した平均値の算出時には誤差が出るのかもしれません。

いずれにしても「ゆとりある老後生活費」としては毎月約35万円といわれることがありますがこの数字はここからきているものということになります。

 

この「生活保障に関する調査」では収入などに関する調査はありません。

そこでもしこの数字どおりの「ゆとりある老後」を送りたいと考えているとして、可処分所得が先ほどの「家計調査年報」の可処分所得毎月「180,958円」と考えてみます。

ここから「ゆとりある老後生活費」毎月34.9万円から差し引くと不足分は月168,042円となります。

これを年換算すると年2,016,504円、これに先程同様30年をかけると

年2,016,504円×30年=60,495,120円となります。

一般的によく言われる老後に準備する資金として3,000万円と言われますが、この数字を基準にすると、かなりの金額を準備する必要が出てくることになります。

ちょっと多過ぎるようにも思いますけどいかがでしょうか。

 

長く生きる時代において

もちろん歳を重ねるごとに支出そのものが減ることもあるでしょうし、ライフスタイルもひとそれぞれですからかかる金額も様々に違ってくることでしょう。

とはいえ年金だけでは生活が心もとないということだけは確かなようです。

また年金の支給時期や支給額も今後見直されないとは限りません。

人生100年時代と言われる中で老後資金の準備として貯蓄を考えることはもちろんですが、これからは長く働いて収入を増やすことも選択肢の一つに入れる時代になっていくのでしょう。

また会社に確定拠出年金の制度がある方は運用に関する勉強などを行い、少しでももらえる金額を増やすように心がけていきたいところです。

さらにお勤め先の退職金の制度をご存知ない方も多くいらっしゃいます。

老後資金の準備においては大切なことですから、40代に入っていている方は会社の退職金などの制度も担当部署さんなどにお聞きしてしっかり把握するようにしてください。

「ゆとりある老後生活費」はいささか多すぎるようにも思いますが、それでも「家計調査年報」の金額よりも余裕を持った収支となるように準備をしていくことを頭において老後資金の準備を考える必要があるということをご理解いただければ幸いです。

老後資金について心配や不安のある方は一度当事務所までご相談ください。

詳しくはこちらのページにてご案内させていただいています。

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