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清算型遺言って何?

今日は久々に遺言書についてのお話しです。

時折「こんな遺言書がありますよ」というご紹介をしていきますとお話しして先日は「予備的遺言」というものをお話ししました。

(よろしければ予備的遺言って何?もあわせてお読みくださいませ。)

で、今日は「清算型遺言」と言われる遺言についてお話ししますね。

 

清算型遺言の基本型

清算型遺言は、遺言者がその所有していた不動産を売却して現金化の上、その現金を相続人で分けるか第三者に遺贈するなどの内容をその基本にしています。

実際に不動産を売却する際には様々な諸経費がかかりますが、売却代金からそれらを差し引いて残った金額を分ける、というような記載をしていきます。

次のような感じですかね。

第1条 遺言者は、遺言者の有する下記の不動産を換価し、その換価金から不動産仲介手数料、登記費用、譲渡所得税等を控除した金額を長男□□ □□(昭和○○年○○月○○日生)と次男□□ △△(昭和○○年○○月○○日生)の2名にそれぞれ2分の1の割合にて分配させる。

                記

        不動産の表示 (略)

第○条 遺言者は、本遺言の遺言執行者として下記の者を指定する。

                記

        東京都練馬区○○1丁目10番10号

         ○○ ○○

(上記は記載のイメージです。)

実務的にはいったん相続人名義にしてから買主さんに売却にはなりますが、遺言執行者が選任されていれば、遺言執行者が手続きを行うため法定相続人の手間を煩わせなくてもいいというメリットはあります。

ただし、この遺言の内容で注意するのは相続人に譲渡所得税が発生する可能性がある、ということです。

譲渡所得税というのは例えば不動産を売却した場合、買ったときの金額と売った時の金額を比較して、売った時の金額が高ければ得をすることになりますから、その得になった分に関して税金をかける、というものです。

相続が発生しているケースにおいては、被相続人が買ったときの金額と相続人が売った時の金額の差を見て売却額の方が高ければ得が出たことになって、相続人に譲渡所得税が課税されることになります。

で、この場合、もし遺言者が売却したことによる金銭を第三者に遺贈する旨の遺言書を作っていた場合、相続人はお金をもらえない、税金は課税されるというお話しになってしまいます。

それでは困るので譲渡所得税分の金額を相続人側に残すような遺言の内容にする必要が出てくる点には十分に注意が必要です。

 

どうして清算型遺言を書くのか?

さてこの遺言書ですが、どういうケースで利用することを考えるのでしょうか?

例えば相続人が家を持っているので、遺言者としては自分の死後相続人にはお金で相続財産を分けてほしいという意向があれば、先程のイメージのような内容でこの遺言を使う方法はあるでしょう。

ただ極端な話ですが、相続人で売却代金を分配するのであれば、分配の仕方を相続人に任せてそのまま相続させればいいわけですから、わざわざこの遺言を残さなくてもいいように思います。

メリットがあるとすれば、前半にもお話ししたように遺言執行者が手続きをやってくれるので相続人は換金されるまで待っていればいいという点ぐらいでしょう。

しかし相続人ではなく、もしお世話になった方々にお金を遺贈したいというようなことを考えた場合はどうでしょうか?

先日NHKのニュースサイト「NHK NEWS WEB」内ビジネス特集というページの中で2016年10月5日18時30分にあげられた記事がありました。

特集のテーマは「遺産は誰に?「遺贈」という遺し方」というものです。

興味のある方はNHKのNEWS WEBよりアクセスして記事をお読みいただければと思いますが、記事によれば最近は家族に遺産を残すのではなく、社会貢献等に役立ててほしいというニーズがあるようです。

そうすると例えばお世話になった団体や社会貢献に役立てることのできる自治体に遺言書を使って自分の資産を残すという選択もあるわけです。

ただその際に不動産のまま遺贈するのでは、もらった側も活用するのが難しく、また売却手続きをもらう側がやっていくことになりなかなか手間がかかることになります。

先程のNHK NEWS WEB内「遺産は誰に?「遺贈」という遺し方」の記事の中では、都内のいわゆる「億ション」の1室が九州地方のある県に寄贈されている旨が書かれています。

売却代金を県立の盲学校のために使ってほしいという遺言者の希望のようで、県は入札にかけて落札されたようです。

このように自治体であれば自ら入札公売ということもできるでしょうが、民間の団体等であれば、売却後の代金をもらう形の方が助かるでしょう。

こういう時にこの「清算型遺言」は有意義に使える遺言になるでしょう。

実際、ネット検索などでもこの遺言については「清算型遺言」という表現よりも「清算型遺贈」という表現のほうが多いくらいだと思います。

また相続人となり得る人がいない方も、この遺言を使って自分の資産をより良い形で世の中に残すということも考え得るでしょう。

自分の財産を有効に世間に役立ててほしいと願う方はこの遺言の作成を検討するといいですよ。

 

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