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そもそも遺言書で何ができるのか?

すでにこのブログでは遺言書の中でも代表的な遺言である自筆証書遺言と公正証書遺言についてお話しています。

(自筆証書遺言については自筆証書遺言の要件はなかなかに厳しいというお話の中で、また公正証書遺言については公正証書遺言についてというお話をさせていただいています。あわせてお読みくださいね。)

ですが、わたくし肝心なことをお話するのを忘れておりました(汗)

そもそも遺言書は何ができるものなのでしょうか?

そして何のために作るものなのでしょうか?

そこで今日はこのことについてお話していきますね。

 

遺言書でできる主なことにはどんなことがあるのか

みなさんが普通考える遺言書に書いてあることと言えばやはり「財産をどう分けるか」という話ですよね。

正確には民法第902条第1項に次のような記載があります。

被相続人は、前二条の規定にかかわらず、遺言で、共同相続人の相続分を定め、又はこれを定めることを第三者に委託することができる。ただし、被相続人又は第三者は、遺留分に関する規定に違反することができない。

条文の「前二条」とは法定相続分にかかわる第900条と代襲相続人にかかわる第901条の規定のことです。

この条文は法定相続持分にかかわらず、遺言者が自由に分け方を決めていいと言っていることになります。

そして今「自由に」と書きましたが、さっきの条文の「ただし」以下の文章(法律ではよく「ただし書き」なんていったりします。)に遺留分規定に違反できない旨が書いてあります。

(遺留分については以前に公正証書遺言についてという記事で軽く触れていますので合わせてお読みくだされば幸いです。)

ただこれは遺留分に違反する遺言を書いても無効になるわけではなく、「遺留分減殺請求」という相続人が「遺留分をください」と言える権利まで否定できるものではない、って考えられています。

ですから遺言者は事実上分け方は自由に考えていいわけです。

しかし・・・、ここまで書いてきてなんですが、この902条の条文に沿った分け方はみなさんが考えている分け方とはちょっと違います。

この902条に沿った遺言書の書き方だと例えば次のようになります。

「私のすべての財産を妻に3分の1、長男に3分の1、次男に3分の1の割合で相続させる。」

これは本来の法定相続分とは違う「割合」を遺言しただけです。

でも皆さんが普通イメージする遺言書による分け方は多分「自宅は妻に、現金は長男と長女で分けて」みたいな感じではないでしょうか。

これは実際には「遺産分割の指定」という考え方になり、民法第908条にその規定があります。

ですから普段みなさんのイメージしている遺産の分け方については、第908条の規定によるものだと思います。

大事なので民法908条の条文をそのまま引っ張ってみましょう。

被相続人は、遺言で、遺産の分割の方法を定め、若しくはこれを定めることを第三者に委託し、又は相続開始の時から五年を超えない期間を定めて、遺産の分割を禁じることができる。

ちなみにこの中には遺言でできることとして、遺産分割の方法を誰か第三者に頼むことや期間を定めて分割自体を禁止することも書かれています。

さてこの他にも遺言でできることはあります。

遺産の分け方以外でよく出てくるのは「遺言執行者」を指定することです。

この「遺言執行者」は、遺言者の最後の意思を実行するための存在です。

民法第1012条第1項にはこの遺言執行者が、「相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する」と書かれています。

結構強い力を持っていることがお分かりいただけると思います。

他にも遺言者が亡くなった後に未成年のお子さんが残されて、もし親権者がいなくなるという事態が考えられるケースでは、未成年後見人や未成年後見監督人の指定を遺言ですることができます。

また生きているうちにもできるけど、遺言書でもできるものもあります。

例えば子供を認知することや推定相続人を廃除したり、特別受益者の相続分の指定、そして遺贈や死因贈与をすることなどができます。

他にもいくつかありますが、特によく使うものはこんな感じでしょうか。

 

なぜ遺言書を書くのか?

さて今までお話ししてきたことができる遺言書ですが、そもそも何のために書くものなのでしょうか?

もちろん誰しも15歳になれば意思能力がある限り遺言書を書くことはできるのですから、書きたければ書くということでもいいでしょう。

でもなかなかこの「書きたいから書く」という人は少数派ではないでしょうか?

誰しも何かしらの心配事があるから書くのだと思います。

「子供たちがもめないようしてほしいから」

「世話になった息子の嫁にも少しは遺贈したい」

「前の妻との子供と今の妻との子供で争いのないようにしたい」

「お世話になった団体に少しでも寄付したい」

「事業用の財産は跡継ぎの娘に継がせたい」

「配偶者がいなくて子供が小さいので将来が心配」などなど様々な理由はあるでしょう。

そういう悩みや迷いがあれば遺言書を書くことをおすすめします。

遺言書は実は万全のものではありません。

例えば遺留分を考慮しない遺言書を作った場合、後日相続人の一人が遺留分減殺請求権を行使すれば、遺言者の意思が貫徹されないこともあります。

それでも遺言書を書くことで自分の気持ちに整理がついたり、今の想いを言葉にしたことで見えてくることがあったり・・・。

「一息ついて、またここからがんばろうという気持ちになった」という方は公正証書遺言の証人をさせていただいた中では結構多かったと思います。

「きちんとしておくことが子供たちに対する責任かと思って」とおっしゃった方もいらっしゃいます。

様々な意見はありますが「自分の中の気持ちを一度きちんと見つめるために書く」ということがいいのではないでしょうか。

 

 

 

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