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自筆証書遺言の要件はなかなかに厳しい

(平成30年12月11日追記:平成31年1月13日より自筆証書遺言の方式が一部緩和されることになりました。

詳しくはこちらの投稿にてお話ししていますので併せてお読みください。)

 

自筆証書遺言の要件

先日、最高裁判所で自筆証書遺言の押印の代わりに花押を使った場合、押印の代わりになるかどうかについて判断がありました。

どうやら花押は認められなかったということで、審理は高等裁判所に戻されたようです。

ニュースでご存知の方も多いと思います。

で、せっかくニュースで大々的に自筆証書遺言について取り上げられましたので、ここでも今日は自筆証書遺言についてお話ししてみたいと思います。

ところで、再度確認ですが今回の裁判では印鑑の代わりに花押でもいいのか、ということが、争点になりました。

そこでまず自筆証書遺言の要件を確認してみましょう。

民法の第968条第1項というとこです。

民法第968条第1項

自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。

とあります。

(法改正に伴う加筆訂正(令和元年6月25日):なお第2項は平成31年1月より開始した財産目録に関し手書きでなくても認められるとする規定であり、また旧第2項である新第3項は自筆証書遺言の訂正についてのお話なので省きます。財産目録についてはこちらの投稿を、また訂正についてはこちらの投稿をあわせてご覧ください。)

とすると要件は

①全部自書、つまり手書き(令和元年6月25日追記:財産目録を除きます。)

②日付を入れる

③氏名を書く

④印を押す

という4つです。

で、これだけの要件なのですが、それゆえか今までに色々な裁判所の判断が示されています。

判例というものです。

例えば①についてはカーボン紙の複写を使ったものでも良いとか、

②について言えば日付が特定できないとダメなので「6月吉日」はダメとか、

③について遺言者が誰だかわかればいい=氏名の併記はいらない(これって芸名とかでもいいってことです)とか・・・

今までに色々な争いがあったわけです。

 

押印はどの「印」か

で、今回は④について争われました。

印鑑の代わりに花押を押した、という行為に対して最高裁判所はNOといったわけですね。

早々と今回の件について裁判所のHPに判決全文が載っておりました。

ポイントだけ抜粋引用すると次のような感じです。

「民法968条1項が,自筆証書遺言の方式として,遺言の全文,日付及び氏名の自書のほかに,押印をも要するとした趣旨は,遺言の全文等の自書とあいまって遺言者の同一性及び真意を確保するとともに,重要な文書については作成者が署名した上その名下に押印することによって文書の作成を完結させるという我が国の慣行ないし法意識に照らして文書の完成を担保することにあると解されるところ,我が国において,印章による押印に代えて花押を書くことによって文書を完成させるという慣行ないし法意識が存するものとは認め難い。」

(裁判所HP平成27年(受)第118号 遺言書申請確認等、求償金等請求事件平成28年6月3日最高裁第二小法廷判決文より引用)

まあ文書を完成させるのに印鑑を押す場合で代わりに花押を書く習慣はないでしょ、ということのようですね。

ところでこの印鑑はどの種類の印鑑でもいいのでしょうか。

結構、誤解されている方も多いのですが、結論から言えば、どの印鑑でもいいという話になります。

というのも先ほどの民法第968条第1項「印を押さなければならない」としか書いていません。

俗に三文判などと言われるもの、認印でも大丈夫なわけです。

必ずしも役所に登録している印鑑=実印である必要はないのです。

以前の判例では「拇印」でもいい、というものもあります。

でも何の印鑑でもいいのだったら三文判よりは花押の方が信憑性があるのでは、と言う考えも一理ある気もします。

そういえば話は飛びますが、先日ある金融機関が口座開設等で3年後をめどに印鑑の使用を原則廃止する方向だという記事が出ていましたね。

そして民法の親族とか相続の周辺の条文はここ数年で色々な判決によって内容が変わっていきました。

先のことはわかりませんが、もしかしたら遺言の要件も将来的には変化していくんでしょうか?

とはいえ、現在は先ほど掲げた条文にそった内容でない遺言は無効になってしまう可能性が高いわけです。

自筆証書で遺言を書く場合、要件はくれぐれも守って書かないといけませんのでご注意ください。

お一人で書くのに心配や不安、不明な点等ある方は有料にはなりますが当事務所でもご一緒に考えさせていただきますので、こちらの遺言書作成支援に関するご案内ページをご確認いただきお問い合わせください。

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