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墓地の年間管理料と管理料の滞納、「無縁墳墓」の改葬手続

今日はまず先日2018年5月29日8:30に配信された産経ニュースさんの記事の見出しからご紹介します。

「多死社会 公営墓地、管理費滞納急増、政令市で2万2千件超…大阪では放置墓から遺骨を無縁墓に移す作業開始」

産経新聞さんが政令指定都市に取材したところこの見出しの件数の管理費滞納事例があるそうです。

記事内の表によれば関東圏で累計滞納額の多い政令指定都市は

千葉市 約1700万円

横浜市 約2100万円

川崎市 約1390万円

というところです。

記事を読む限り各政令指定都市ともいろいろ苦慮されているようですが、なかなか厳しい状況のようで、見出しの大阪市のように25年ほど前からご遺骨を無縁募に移して墓石を撤去する作業もあるようです。

 

墓地の年間管理料とはどのくらいなのか?

そもそも管理費について公営墓地ではどのような規定になっているのでしょうか?

例えば都立霊園についてみてみましょう。

都立霊園公式サイト「TOKYO霊園さんぽ」によれば平成30年4月1日から管理料の変更がありました。

なお都立霊園の管理料は2年に1度見直しが行われるとのことです。

平成30年4月からの管理料ですが、「一般埋蔵施設」と呼ばれるまさに一般的なお墓の形でご遺骨を埋蔵する形式の場合、年間で1㎡あたり660円となっています。

ただし実際の「一般埋蔵施設」の大きさにはそれぞれタイプがあって都立霊園のうち多磨霊園の場合は1.80㎡~6.45㎡まであります。

また1㎡未満は切り上げになるとのことです。

したがって計算すると1,320円~4,620円となります。

また同じ多磨霊園の「芝生埋蔵施設」と呼ばれるタイプは1㎡あたり890円、このタイプはすべて4㎡ですので年間管理料は3,560円となります。

また別の例ですが、私の実家のある群馬県のとある公営墓地の場合、ここは多磨霊園の「芝生埋蔵施設」に近いタイプですが、1区画4㎡年間管理料が5,150円となっています。

公営墓地の年間管理料はこのようにおおむね数千円程度のこところが多いようです。

 

年間管理料の滞納と使用許可取消

一方で滞納した場合についてもそれぞれ規定があります。

都立霊園では管理料の滞納が5年間に及ぶと使用許可が取り消される対象となります。

また先ほどの群馬県のとある公営墓地においては滞納期間が3年間使用許可取消の対象になりますし、使用許可者が住所不明になって7年経過したときも使用許可取消の対象になります。

年間管理料としてみれば、金額的に大きくないと思うかもしれませんが、経済的に支払うことが難しいケースも出てくるでしょうし、後継者がいない、もしくは親類が生前にそのお墓と縁がなかったことから支払いを拒むようなことも考えられるでしょう。

お墓を維持することがますます難しくなっているのかもしれません。

 

無縁墳墓の改葬手続

さてこのように使用許可が取り消されご遺骨が先ほどの大阪市の例のように無縁募に移されるような状況になる場合、手続き的にはどのような形になるのでしょうか?

いわゆる「無縁墳墓の改葬手続」です。

これについては「墓地、埋葬等に関する法律施行規則」の第3条に規定があります。

条文を引用することにしましょう。

 

第3条 死亡者の縁故者がない墳墓又は納骨堂(以下「無縁墳墓等」という。)に埋葬し、又は埋蔵し、若しくは収蔵された死体(妊娠四月以上の死胎を含む。以下同じ。)又は焼骨の改葬の許可に係る前条第一項の申請書には、同条第二項の規定にかかわらず、同項第一号に掲げる書類のほか、次に掲げる書類を添付しなければならない。

一 無縁墳墓等の写真及び位置図

二 死亡者の本籍及び氏名並びに墓地使用者等、死亡者の縁故者及び無縁墳墓等に関する権利を有する者に対し一年以内に申し出るべき旨を、官報に掲載し、かつ、無縁墳墓等の見やすい場所に設置された立札に一年間掲示して、公告し、その期間中にその申出がなかつた旨を記載した書面

三 前号に規定する官報の写し及び立札の写真

四 その他市町村長が特に必要と認める書類

 

条文の本文に出てくる「同項第一号に掲げる書類」とは「墓地、埋葬等に関する法律施行規則」第2条第1項第1号の「墓地又は納骨堂(以下「墓地等」という。)の管理者の作成した埋葬若しくは埋蔵又は収蔵の事実を証する書面(これにより難い特別の事情のある場合にあつては、市町村長が必要と認めるこれに準ずる書面)」つまり墓地管理者によるご遺骨の埋蔵収蔵などの証明書が必要ということです。

これに加えて先ほどの第3条の第1号から第4号までの書類が必要になります。

そこで簡単に以下まとめると

・墓地管理者からのご遺骨の埋蔵収蔵などの証明書

・無縁墳墓などの写真、位置図

・墓地使用者や縁故者などへ1年以内に申し出るよう掲載した官報とその写し

・無縁墳墓を改葬する旨の公告を掲示した立札の写真

・申出がなかった旨を記載した書面

・その他

というようになります。

先日ある納骨堂にお邪魔した際にも堂内にこの旨の掲示がなされていました。

なかなかに使用者が継続されていくということは難しいようです。

 

無縁墳墓になる前に

冒頭のお話に戻りますが、公営墓地の管理料等は施設内の維持管理に当てられる費用です。

滞納される方が増えることはすぐにではなくとも墓地の管理などにいずれ影響を与えるものになるでしょう。

無縁墳墓となる前に改葬等の手続きを考えることは社会全体といえばいささか大きなお話になりますが長年お墓を守ってきてそのまさに「墓じまい」を考えるうえでも大切なことになってきているように思います。

先ほどの都立霊園の例で言えば、お墓を守る後継者のいない方に対してそれまでのお墓を返して、納められているご遺骨を合同墓に共同で納める形への「施設変更制度」が設けられています。

また後継者のいない方は最初から将来の合同供養を選択することも検討される方法もあります。

私も業務でそういう選択のお手伝いをさせていただいたことがございます。

「従来のお墓を維持することは社会の変化とともに難しくなってきた」という最近良く聞く表現は実際に私自身そのように感じることが増えてきました。

「無縁墳墓」をどのように減らしていくのか、今後ますますしっかりと考えたお墓の選択が重要になるでしょう。

当事務所ではこういったお墓に関するご相談もお受けしています。

お墓の承継のことなどでお悩みのある方についてはこちらの業務案内ページをご確認の上お問い合わせください。

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