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「民法における相続」と「税法における相続」の違いにはどんなものがあるか?

お客様の遺言や相続などのご相談をお伺いしていると「民法における相続」と「税法における相続」との二つの知識が必要なケースをよく感じます。

私は行政書士として遺言書など民法上の相続に関するお話しをさせていただきます。

またファイナンシャルプランナーですから個別の税金の計算はできませんが、それでも一般的な事例やモデルケースなどでご説明をすることはしています。

とはいえ実際お客様にとってはどちらがどちらということはさほど重要ではなく、そのあたりの区別を意識されていないことはごく当然のことです。

ただその区別を知っておいていただければよりいろいろなことを検討できるでしょう。

このブログでもお話ししていることが多いのですが、今日はこの「民法における相続」と「税法における相続」という視点からあらためて話しします。

 

「みなし相続財産」生命保険金

以前に遺産分割をなるべくわかりやすく話してみるというお話しの中で相続財産についてお話ししました。

あわせてこの投稿もお読みいただきたいのですが、この「相続財産」が民法と税法の考えの違う点の一つです。

先程の投稿でも触れましたが、代表的なものとしてあげられるのが被相続人の死亡により相続人が受け取ることになった「生命保険金」です。

いわゆる「みなし相続財産」とされるこの生命保険金はあらかじめ受取人が決まっていることから「民法における相続」財産には含まれない形になります。

しかしこの保険料を被相続人が負担している場合、つまり

契約者 被相続人 被保険者 被相続人 受取人 (例)妻

となっている場合は被相続人が保険料を負担している点などを考慮して妻の受け取った保険金が相続税の課税対象となります。

つまり「税法における相続」財産としては計算に入れる必要があるわけで、これが「みなし」相続財産といわれる点です。

ただし先程の契約の組み合わせが

契約者 (例)妻 被保険者 被相続人 受取人 (例)妻

の場合は、妻自身が保険料を負担していますのでこの場合は相続税ではなく、妻の所得税の対象になりますのでご注意ください。

 

養子縁組の話

もう一つ「民法における相続」と「税法における相続」の違いとして養子縁組に関するお話しがあります。

これについては今年(2017年)のはじめに2度ほどお話ししていますのであわせてそちらもお読みいただければ幸いです。

養子縁組がなぜ相続税対策になるのか?(追記あり)

相続税対策と養子縁組についての判決を見てみる

このお話しは複数人を養子縁組した際にどのような効果が生じるのか?という点にあります。

簡単に言うと「民法における相続」において養子はその人数に関わらず法定相続人となりますが、「税法における相続」においては養子の人数に制限がかかります。

よく言われる相続税の「基礎控除」は以下の計算式で算出されます。

 3000万円+600万円×法定相続人の数=基礎控除額

この「基礎控除額」を相続財産から差し引いた額が課税される遺産の総額になります。

そしてこの「法定相続人の数」は養子が何人いても、被相続人に実子がいる場合の養子の数は1名、実子がいない場合の養子の数は2名までしか計算に入れることができないのです。

これを制限しないと養子をたくさん迎えて基礎控除額を大きくしようと考え、結果として相続税の納付に支障が出ることになるからだとFP試験の勉強のさいにはききました。

この違いもけっこう難しいところです。

 

期限の問題

よく相続に伴う不動産や預貯金口座などの相続手続きについて

「いつまでにやらなければいけませんか?」

というご質問をいただきます。

預貯金などには時効などの発生を考慮する必要はありますが、基本的にはいつまでに手続きしなくてはいけないということはありません。

こういった点が最近名義変更しないで放置されている不動産の問題にもつながるところではありますが、期限はないんですね。

ただし「民法における相続」の代表例である「相続放棄」の手続きは、民法第915条の規定により「自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に」手続きをとる必要があることには注意が必要です。

相続放棄については相続放棄と遺産分割という投稿でお話ししています。

さて今度は「税法における相続」の場合ですが、相続税の申告手続きをする必要がある場合は事情がかわります。

相続税の申告は「被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内」に行うことになっているからです。

したがって遺産分割などもそこまでに協議しておくことが重要です。

さてこの「民法における相続」と「税法における相続」の違いについては次回ももう少し続けていく予定です。

 

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