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シニア婚と相続の悩ましさ

シニア婚に必須な相続への対応

前回「相続放棄と遺産分割」のお話しをしました。

というのは実はちょっと気になる記事があったのでその前提としてお話しした次第です。

 

先日Yahoo!ニュースの特集で「シニア世代の再婚ーー後妻と子どもに降りかかるお金クライシス」と言う記事があがりました。

気になる記事というのはこの記事です。

最近良く聞くお話でもあるのですが、シニア世代の方が再婚をされたことによって実子の方とここでいう後妻さんの間で相続争いが起こることは確かに大きな懸念材料です。

こういうケースにおいては特に男性の方の資産が大きい場合、実子の方の反対は十分に考慮しなくてはいけないところです。

この時よく「お子さん方が父親の金を渡したくないから」トラブルになるという意見があります。

これも一因ですが「もしかして父親がだまされているのではないか」という純粋な心配もあるでしょうし、感情的に「どうしても受け入れられない」という部分もあるでしょう。

確かに婚姻ですから二人で決めればいいのですが、周りの了承はやはり得ておくほうがより円滑なシニアライフを送ることができるのではないかと思ったりもするわけです。

その場合、父親の財産をどのような分配するかはやはり細心の注意が必要です。

お子さん方との話し合いはしっかりしておくことがとても重要になります。

 

ところでこの記事の中で気になったのが後半に出てくる「「相続放棄」で心を開いた」というくだりです。

66歳の女性と70歳の男性が再婚されるにあたってのお話で男性の娘に理解をしてもらおうと女性が「相続放棄」を提案したというのです。

長めですが記事のくだりを引用します。

いくら父親の認めた女性といえども、娘たちには赤の他人。ましてどこの馬の骨かわからない女性への不安感に加え、遺産の問題も絡んでいた。

娘たちのその気持ちを理解した美絵さんは、みんなが幸せになるためには、絶対に娘たちの理解が必要だと考えた。そのための胸襟を開く方法として、「相続放棄」を提案した。

「経済的な不安もあって始めた婚活ですが、必要以上にお金が欲しいわけじゃないんです。日々お金の心配はせずに暮らせて、死ぬまで自宅に住まわせてもらえれば、遺産はいらない。老後のお金は、いっしょに暮らし始めてからいただく生活費をやりくりして貯めればいいと考えました。そして実際にそれを提案したんです」

恭介さんが先に亡くなった場合、美絵さんは相続を放棄する。そのまま自宅に住み続けるが、美絵さんが亡くなったら娘たちに返す。こうしたことを公証役場で正式な書面にまとめ、娘たちに提示した。娘たちの態度は軟化。2人の結婚に同意した。

 (9/21(木) 10:33 配信 Yahoo!ニュース 特集 「シニア世代の再婚――後妻と子どもに降りかかるお金クライシス」より引用)

ここでいう「相続放棄」と言う言葉は前回お話してきた相続放棄ではないと思います。

そもそも前回お話しましたように相続放棄は裁判所に申述する手続きでしかも生前にはできません。

ですから本来的な意味での相続放棄とは違うはずですし、記事をお書きになった方もそれを承知であえて相続放棄と言う言葉を「」でくくったものと私は推測しています。

 

「遺言による信託」の利用

ではこの記事でいう公証役場で行った手続きはどんな手続きだったのでしょうか?

男性が死亡した際に財産を娘さんたちに相続させ、女性は遺留分を放棄する許可の申し立てを裁判所にする方法考えられます。

ただその場合は公証役場で手続きは完結しませんし、女性が自宅に住み続けること、すなわち女性に居住権が確保できない可能性が高くなります。

個人的に考えたのはおそらく公正証書遺言による民事信託、すなわち「遺言による信託」を利用したのではないか?ということです。

 

「遺言による信託」による方法の中には、先程の記事のようなシニア婚の結果、後妻の方の居住権を確保しつつ先妻との間のお子さんの相続を調整するような方法があります。

例えばお子さん方を相続財産たる自宅を託すべき「受託者」とし、後妻の方にはその相続財産たる自宅に居住できる権利を受けることのできる「受益者」という立場におく信託を公正証書遺言で準備する方法です。

この場合、後妻の方が亡くなった際にはその自宅を受託者たるお子さんに帰属させるような内容にします。

「収益受益権」を後妻の方に、「元本受益権」をお子さんに与える、というような言い方になります。

先程の引用記事を読んだ際に私自身が考えたのはこの形です。

もちろん実際には何か違う方法をとられたのかもしれません。

また仮に信託を利用するにしても税金面等で特別節税等になるわけではありませんので、課税関係などについては信託に詳しい税理士の方など専門家への相談は必要です。

とはいえシニア婚で家族に納得してもらうための一つの方法としてこういう考えもあるのかな?とふと思いました。

 

シニア婚とはいえ婚姻ですから、お二人の婚姻の意思があれば婚姻はできます。

とはいえ周りに家族がいることも確かです。

あとで相続で悩まないようお子さん方とのコミュニケーションをしっかりとっておくこと、まさに一緒に親子終活を考えることも大切です。

 

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