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不在者財産管理人と遺産分割の話

さて今日も恐縮ですが、時事ネタからのお話しです。

昨日2017年7月12日付NHK NEWS WEBの配信記事です。

見出しは

「空き家対策 民法の規定を活用し解体 東京」

という記事でした。

これは世田谷区の事例だそうで、長年放置された平屋住宅の壁が崩れるなどして周辺の住民の方から苦情が出ていたそうです。

世田谷区が持ち主の所在を探しても確認できなかったそうで、ある民法の規定を使って解体したとのことでした。

その規定が「不在者財産管理人」の規定です。

そこで今日はこの不在者財産管理人についてお話しします。

 

不在者財産管理人ってどんな人?

まずは「不在者財産管理人」とはどんな人なのか、裁判所のウェブサイトに書かれていますので引用させていただきます。

 従来の住所又は居所を去り,容易に戻る見込みのない者(不在者)に財産管理人がいない場合に,家庭裁判所は,申立てにより,不在者自身や不在者の財産について利害関係を有する第三者の利益を保護するため,財産管理人選任等の処分を行うことができます。
 このようにして選任された不在者財産管理人は,不在者の財産を管理,保存するほか,家庭裁判所の権限外行為許可を得た上で,不在者に代わって,遺産分割,不動産の売却等を行うことができます。

 (裁判所ウェブサイト内「不在者財産管理人選任 1.概要」より引用)

細かい説明をするとわかりにくいので、例によってざっくりとお話ししますね。

住んでいたところをいなくなって簡単には帰って来そうにない人がいたとします。

なおこの時に必ずしも生死不明である必要はありません。

そうするとこの人の財産はほったらかしになります。

これではいなくなった人だけではなく、例えばこの人と利害関係のある人も困ったりしますよね。

そこで利害関係人などの申し立てを受けて裁判所が選任して不在者の財産を管理する人が、文字通り「不在者財産管理人」になります。

そしてこの不在者財産管理人の権限は先程の引用文の後半にあるように、基本的には不在者の財産を管理や保存することがその役割になります。

また引用文にもあるように「遺産分割,不動産の売却等」も裁判所の許可を受ければ、可能になるわけで、実はこれが申し立ての大きな理由になるのではと思っています。

で、この「不動産の売却等」の「等」が今回のニュースのポイントでして、ここで言っているのはいわゆる「処分行為」と言われる行為を指しています。

「処分行為」の中には「解体すること」も入っていますので、財産管理人が家庭裁判所の許可を得れば解体することが可能である、という話になるわけです。

 

相続人で不在者がいる時にも選任することがある

さて先ほどの「家庭裁判所の権限外行為許可」の中に「遺産分割」という言葉が入っています。

これはどういう意味でしょうか?

例えば遺産分割をするにあたり、共同相続人の一人にこの「不在者」と思しき方がいるとします。

この「不在者」を無視して遺産分割協議ができるでしょうか?

残念ながら答えは「できない」ということになります。

遺産分割協議をする相続人はあくまで全員だからです。

でも、そうすると話が進まなくなりますよね。

そこでこの「不在者」に代わって遺産分割協議に加わる方を選任して協議をすることになるわけです。

注意するのはこの場合、まず遺産分割協議に加わる「不在者財産管理人」を選任してもらい、さらに遺産分割協議について裁判所の許可をもらう必要があるという二段階で裁判所に手続きをお願いすることになるというお話しです。

また基本的には不在者に相続財産を与えないような分割協議では家庭裁判所の許可はもらえないということです。

つまり相続人中に万一「不在者」の方がいる場合、遺産分割には大変な苦労をすることになります。

したがって将来的に被相続人となる立場の方は、このケースでは「遺言書」の準備がとても大事になってきます。

遺言者の方が亡くなった後で相続人の方々に大きな負担をかけることになるからです。

なお「不在者財産管理人選任」等の手続きについては弁護士の方や司法書士の方にお願いする手続きになりますので、当事務所では直接お受けできませんが、当事務所からのご紹介は可能です。

ちなみに私の師匠は司法書士でもあるので、若いころに司法書士事務所の事務員として一度だけこの手続きに関わったことがありました。

詳しいお話しはもちろんできませんが、遺産分割でもこんなに大変なことがあるものか、と思ったことをよく覚えています。

繰り返しになりますが、将来的に被相続人となる立場の方は、「遺言書」の準備をぜひご検討いただきたいと思います。

それにしても「不在者財産管理人」が空き家の解体に利用される時代になるとは、先程の若いころには考えもしなかったですね・・・。

 

 

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