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法定相続分の預金払い出しが認められくなって注意しておきたいこと

預金の法定相続分が払い戻しできない

さて今日は久しぶりにかためのお話をします。

先日2017年(平成29年)4月6日に最高裁判所の第一小法廷にてある「預金返還等請求事件」に関する判決がありました。

実はこの判決、以前にお話した相続と預金債権をめぐる裁判の判決だったのです。

新聞の見出しにしますと次のようになります。

同年4月7日付の日本経済新聞朝刊です。

「遺産争いの法定相続分預金 最高裁が払い戻し認めず」

というものです。

まずこのブログで去年の12月に預金と遺産分割 その後というお話をさせていただきました。

あわせてリンク先もお読みいただけるとありがたいのですが、このときにお話したことをざっくりまとめると次のようになります。

  • 預貯金も新たに遺産分割の対象となった。
  • 預貯金等も当然に相続分に応じて分割されるものではない。
  • 原則的には預貯金の口座解約は共同相続人全員で解約する必要がある。
  • 遺言書や遺産分割協議が今まで以上に重要になるであろう。
  • 金融機関の対応がより厳格な方向に向かうかもしれない。

とこんなことをお話しました。

で、今回の事案は先ほどの日経新聞の記事にも書かれていますが、ある信用金庫とその信用金庫に預金のあった被相続人のお子さんのお一人(相続人)との間での問題でした。

その相続人のお一方が信用金庫に対し、自らの法定相続分の支払いを求めたが応じてもらえず裁判になったというようです。

昨年の裁判所の決定が出される前は、預貯金については法定相続分の払い戻しは可能であったわけです。

が、先ほどの私の昨年のブログでもお話しましたように、遺産分割の裁判所判断に昨年12月変更があり預貯金債権が遺産分割の対象ということになったことを受けて、今回の最高裁の判断ということになったようです。

早速裁判所のウェブサイトに本件の判決要旨等がアップされていました。

その判決全文の下線が引かれていたポイントを引用します。

共同相続された定期預金債権及び定期積金債権は,いずれも,相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはないものというべきである。

(裁判所ウェブサイト内 平成29年4月6日最高裁第一小法廷 判決文より引用)

また今回の対象となっている預金の中には、普通預金のほかに、今の判決文にあるように定期預金と定期積金があるのですが、これについて裁判所は次のようにも判断しています。

同じ判決文からやや長いのですが引用します。

定期預金については,預入れ1口ごとに1個の預金契約が成立し,預金者は解約をしない限り払戻しをすることができないのであり,契約上その分割払戻しが制限されているものといえる。そして,定期預金の利率が普通預金のそれよりも高いことは公知の事実であるところ,上記の制限は,一定期間内には払戻しをしないという条件と共に定期預金の利率が高いことの前提となっており,単なる特約ではなく定期預金契約の要素というべきである。

(裁判所ウェブサイト内 平成29年4月6日最高裁第一小法廷 判決文より引用)

つまり預金者の払戻しに制限があるからこそ定期預金の金利は普通預金の金利よりも高い、これが定期預金の要素、つまり定期預金という商品を成り立たせるものだといっているわけです。

その上で、こういう制限があるのだから共同相続人が共同で払戻しを求めるしかない、と今回の判決は言っています。

全文確認されたい方は裁判所ウェブサイトの最高裁判所判例集よりご確認いただればと思います。

 

万一の出費に備える

もともと今回の裁判は遺産相続をめぐる事案のようです。

ただ実際にこういう判断が出てくると、仮にトラブルがないとしても、もし亡くなった方の預貯金から葬儀費用や当面の生活費を準備しようと思っている場合には、そのこと自体厳しくなってくるケースが出てきそうです。

先ほど以前の私のブログのお話をしましたが、そこで遺言書や遺産分割協議書の重要性について触れました。

とはいえそれは実際に相続手続きがはじまってからのお話です。

金融機関さんに迅速な手続きをお願いしてもなかなか難しいところもあるでしょう。

もちろん生命保険の保険金で賄うケースもありましょうが、必要書類の準備などに時間がかかるケースもあるかも知れません。

そういった意味でもこれからは万一の事態に備えての手元資金を別にしっかり準備しておく必要がありそうです。

そういえば先日4月3日の日本経済新聞で

「タンス預金が止まらない 3年で3割増、43兆円 富裕層、現金志向強める」

という記事がありました。

まあこれは富裕層と呼ばれる方々のお話で、また趣旨がちょっと違う意味のお話ではあります。

ただ万一の出費にそなえておく必要は今まで以上に高くなりそうです。

あまり考えたくはないこととはいえ、この万一の事態に備えてタンス預金にしておくことも視野に入れておく方もいらっしゃるかもしれません。

また遺産分割が完了するまでの間の一時的な資金を相続人が立て替えておくことも頭に入れておくといいでしょうね。

いずれにしても葬儀費用や当面の生活費などは相続の手続きをする前に出てくるお話しです。

その分を柔軟に対処できるようにする方法を考えておく必要がありそうです。

 

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