ブログ

成年後見制度の利用はすすんでいくのか?

成年後見制度利用促進基本計画

先日2017年(平成29年)3月24日に「成年後見制度利用促進基本計画」というものが閣議決定されたそうです。

 昨年2016年(平成28年)5月13日付で施行された「成年後見制度の利用の促進に関する法律」というものがあるのですが、この法律の第12条にこの計画を定めなければならない旨の規定があります。

で、その条文に基づいてこの計画が決まったというわけです。

そもそもなんで「成年後見の利用促進」なる話が出てくるのでしょうか?

その回答になると思うものが先ほど「成年後見制度の利用の促進に関する法律」の第1条、いわゆる「目的規定」です。

ちょっと長いのですがこの条文を見てみます。

(目的)
第1条  この法律は、認知症、知的障害その他の精神上の障害があることにより財産の管理又は日常生活等に支障がある者を社会全体で支え合うことが、高齢社会における喫緊の課題であり、かつ、共生社会の実現に資すること及び成年後見制度がこれらの者を支える重要な手段であるにもかかわらず十分に利用されていないことに鑑み、成年後見制度の利用の促進について、その基本理念を定め、国の責務等を明らかにし、及び基本方針その他の基本となる事項を定めるとともに、成年後見制度利用促進会議及び成年後見制度利用促進委員会を設置すること等により、成年後見制度の利用の促進に関する施策を総合的かつ計画的に推進することを目的とする。

長い条文ですが、認知症等の方々とともに生き、また認知症等の方々を支えるための制度である「成年後見制度」が十分に使われていないからこれをもっと使っていこう、というようなお話しですね。

成年後見制度は2000年にスタートして以降、名前は以前に比べてたいぶ浸透してきているとは思いますが、その中身についてよくわかっている方はまだまだ多くはないと思います。

これからますます高齢者の方が増えていく中で、その普及啓発が必要だと国が判断していることが、先程の法律やその計画を策定したあたりからもうかがえるところですよね。

具体的な計画については内閣府のウェブサイトに記載がありますのでリンクでご紹介しておきます。

内閣府ウェブサイト内成年後見制度利用促進基本計画について

で、このリンク先にあるもろもろの中から「成年後見制度利用促進基本計画のポイント・概要(8枚版概要)」を見てみると3つのポイントが出てくるのでこれを挙げてみましょう。

(1)利用者がメリットを実感できる制度・運用の改善

(2)権利擁護支援の地域連携ネットワークづくり

(3)不正防止の徹底と利用しやすさとの調和

以上3つが挙げられていまして、それぞれに1枚づつのスライドがついています。

またそれぞれに具体的な項目も設けられています。

(1)については、「財産管理のみならず、意思決定支援・身上保護も重視」「適切な後見人等の選任、後見開始後の柔軟な後見人等の交代等」他。

(2)では「権利擁護支援が必要な人の発見と早期からの相談 」「地域連携ネットワークの整備・運営の中核となる機関の必要性 」など。

そして(3)では「後見制度支援信託に並立・代替する新たな方策の検討」となっています。

詳しくは先ほどのリンクから8枚版概要を確認いただけるとよろしいかと思います。 

 

本当に利用はすすむのか?

ただ資料を読んでも、正直これで成年後見制度の利用が増えるのかな?とは感じました。

例えば(1)の「利用者がメリットを実感できる」とある部分ですが、実際には、利用者がメリットを実感できるかどうかにかかわらず、本人が物事の判断がかなり厳しい状況になってから、親族が後見の申し立てを始めるケースもけっこうあるのではないかと個人的には思っています。

ある高齢者の方が認知症を患い、施設に入るにあたりその一時金を賄うために親族がその高齢者名義の自宅を売却しようとしたものの本人の意思確認が難しいことがわかり、そこではじめて成年後見制度の利用が必要だと知った、なんて方もけっこういらっしゃるのではないでしょうか。

またその場合でも一度後見人を選任すれば、本人が回復しないと、売却後もずっと成年後見制度のお世話になることになります。

これが負担だと思う親族の方々もいらっしゃるのではないかと思っています。

ノーマライゼーションや自己決定権の尊重という考え方はもちろん重要ではあるものの、実際のこの制度は親族の方々に結構な負担をかけているのではないか、そのあたりが現行の成年後見制度は実務的にきわめて使いにくい制度になってきているのではないかと思っています。

被後見人のご家族の方々には後見人に対して不満を抱えている方もいらっしゃるようです。

またそういったこともあってか後見を、業務とはいえかなり大変なおもいをして行っている士業の方もちらほらいらっしゃると聞いたことがあります。

つまり利用者の方のメリットよりその親族や周りの方々がいろいろと苦労される部分が大きいのではないのかなと私は考えています。

また(3)についても「方策の検討」とありながら当該スライドには「預貯金等の管理の在り方のイメージ(案)」を載せてはいるものの「後見制度支援信託に並立・代替する預貯金等の管理の在り方については、金融機関における 自主的な取組に期待。」として金融機関の各加盟協会に要請している旨があるにとどまっています。

後見人による横領事案が毎年のように出てくる中で設けられた「後見制度支援信託」制度ではありますが、やはりなかなかに使いにくい部分もあるようです。

もちろん判断能力の衰えてこられた方をどう守っていくかというのは重要な問題ですし、まして後見人による横領などは言語道断の話です。

また完璧な制度というものは存在しないわけで、既存の枠組みをどのようにマイナーチェンジしながら活用していくかが大切なことだということは認識しています。

何か途中から文句ばかりになってしまいましたが、国はこういう計画をたてたようですし、この制度が今のところ判断能力の衰えてこられた方々を守っていく重要な手段であることは確かです。

ひとまずその計画が進んでいく様子を見守っていきたいなとは思っています。

 

関連記事

ページ上部へ戻る