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相続をめぐる時代とルールの「ずれ」を感じています

2月末から3月頭にかけて相続に関する報道がいくつか見受けられました。

手短ですが、今日はその辺りの話題に少し触れていくことにします。

 

配偶者の相続分をどう考えるのか?

2月28日には朝日新聞デジタルで「配偶者相続に新優遇案「結婚20年・住宅贈与」が対象」という記事が23時40分付で配信されました。

以前昨年(2016年)10月に「民法(相続関係)等の改正に関する中間試案」のパブコメ結果が発表されましたというお話しをしました。

この中で当初相続部会の取りまとめた中間試案では、配偶者の相続分を引き上げる方向で検討されていましたが、パブコメでは反対の意見が多かった、という点に触れました。

その時にお話ししたことと同じことをもう一度話すと、反対の主な理由としては被相続人の財産を築いてきたうえでの貢献は、配偶者だけでなく他の相続人や内縁関係の方などにも認められる、夫婦間の貢献度合いが様々である、遺言や寄与分など他の制度もある、といったものがあったようです。

この結果を受けて法制審議会はこの法定相続分の変更が難しいという見解になっていたようなんですね。

その際に一部引用させていただいた毎日新聞のネット配信記事を再度一部引用させていただきます。

 「相続法制の見直しを検討する法制審議会(法相の諮問機関)の部会は18日、遺産分割時の配偶者の法定相続分を現行の2分の1から「3分の2」に引き上げることなどを柱とした中間試案について、「試案のままで議論を進めるのは困難」との意見で一致した。同審議会は今後、試案の修正か、代案を検討する。」

 (毎日新聞2016年10月18日20時24分配信ネット記事 「<法制審>配偶者3分の2相続「困難」 意見公募で反対多く」より引用)

で、冒頭の朝日新聞の記事によれば、法務省が法制審議会相続部会に新しく見出しのような提案をしたようなんです。

ちょっとその一部を記事から引用しましょう。

「新しい案は、結婚から20年以上の夫婦で、配偶者が居住用の建物や土地の贈与を受ける場合が対象。贈与した人が死亡し、相続人同士で遺産を分けることになった際に、贈与された住居については全体の遺産の計算に含めない。」

( 朝日新聞デジタル2017年2月28日23時40分配信記事 「配偶者相続に新優遇案「結婚20年・住宅贈与」が対象」より引用)

でも正直に言うとこの朝日新聞の記事の内容だけでは、具体的な形がどのような案で出ているのかがわかりにくいんですよね。

ただ今のところ一つ言えることは、法務省としては配偶者の法定相続分については形をどうにかして引き上げる方向を検討したいという意図は依然としてあるようですね。

このお話しはもう少し詳しいことが出てきたらまた取り上げることにしたいと思います。

ちなみにその後もパブコメの結果を受けて、法制審議会の相続部会で会議が行われている様子は法務省の法制審議会、民法(相続関係)部会のホームページに資料等がアップされています。

 

介護者の貢献は反映できるのか?

さて3月1日の日経新聞朝刊では「家族と法」という記事の中で「相続、介護の貢献どこまで 改正議論進む」という記事がありました。

またテレビではNHKのクローズアップ現代+で2月28日に「さらば遺産“争族”トラブル~家族で解決!最新対策~」と題した特集が放送されていました。

テレビの話題は後半のいわゆる「家族信託」の件が中心だったようですが、その前に義理のお母さんをご主人が亡くなった後にも介護した方が辛い思いをしたことも触れられています。

この介護を担当した親族の取り分についてどのように扱うかは極めて重い問題だと思います。

実はこの問題も先程触れた「民法(相続関係)等の改正に関する中間試案」の中で取り上げられていました。

例えば被相続人の息子さんの奥さんが被相続人の介護にがんばってくれたら相続人に金銭請求をできるようにしようかどうか、というようなことをパブコメにかけたわけです。。

この際のパブコメの結果は、意見が分かれたという概要になっていました。

こちらも先ほどの私の10月のブログでちょこっと触れているのですが、公平性の点から賛成という意見と相続争いの複雑化、長期化の視点から反対という意見に割れたということになっていました。

しかしながら引き続きこういう話題が取り上げられいるという事態は、やはり介護と相続の問題について割り切れない想いを持っている方が少なくないからだと思います。

先程の日経新聞の記事の中でも義母の介護をした子供の嫁の「寄与分」を夫が主張をしたけど認められなかったという事例が載っていました。

そもそも寄与分の条文である民法第904条の2第1項には次のように定義されています。

(寄与分)
第904条の2
 1.共同相続人中に、被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から共同相続人の協議で定めたその者の寄与分を控除したものを相続財産とみなし、第900条から第902条までの規定により算定した相続分に寄与分を加えた額をもってその者の相続分とする。

この条文を読むと、そもそも寄与分の認められる対象者は「共同相続人中に」と冒頭にありますから、「義母の介護をした子供の嫁」は共同相続人ではないので寄与分の対象者として認められにくいという事情があるわけですね。

先程お話ししましたようにパブコメの意見は賛否が分かれているわけで、最終的にどのような結論になるのかこちらも引き続き見ていきたいところです。

それにしても今日お話した2つの話題が出てくる背景は、やはり現在の相続に関する仕組みが現況と合わなくなってきている側面が大きくなってきているからでしょうね。

よく言われることですが、高齢化や認知症にかかる方が増えている点や「家」に関する考え方の変化など時代背景によって、相続をめぐる世の中の仕組みが我々生活者にとって使いづらい存在になってきているように思えます。

そういえばこのところ相続や親族のルールに関して最高裁判所の判断を仰ぐケースも増えているように感じます。

従前のルールと世の中の流れにずれがあるのであれば、新たなルール作りを当局にはできれば急いでいただきたいと思うところです。

 

 

 

 

 

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