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相続税対策と養子縁組についての判決を見てみる

今年(2017年)の1月3日に養子縁組がなぜ相続税対策になるのか?というお話しをさせていただきました。

詳しくはリンク先の私のブログ記事をお読みいただければありがたいのですがかいつまんでポイントを挙げると次のようなお話しをさっせていただきました。

  • 養子縁組をすることで法定相続人を増やすことができ、一人分の基礎控除額も増えて相続税対策につながる。
  • 一方民法の規定において養子縁組は真に親子関係を作るという実質的な意思が必要とされる。
  • 相続税対策の養子縁組はこの意思があると認められるのかどうか裁判になっている。

というお話しをしました。

で、この裁判について2017年1月31日に最高裁判所第三小法廷で判決が出されました。

今日はそのお話しです。

 

養子縁組は有効

今回最高裁判所は養子縁組を無効とした東京高裁の判決を破棄して、養子縁組は有効であるという判決を出しました。

どんなことになったのか、ちょっと長いのですが大事なところですので、早速裁判所ウェブサイト内にアップされました判決文から引用させていただきましょう。

 養子縁組は,嫡出親子関係を創設するものであり,養子は養親の相続人となるところ,養子縁組をすることによる相続税の節税効果は,相続人の数が増加することに伴い,遺産に係る基礎控除額を相続人の数に応じて算出するものとするなどの相続税法の規定によって発生し得るものである。相続税の節税のために養子縁組をすることは,このような節税効果を発生させることを動機として養子縁組をするものにほかならず,相続税の節税の動機と縁組をする意思とは,併存し得るものである。したがって,専ら相続税の節税のために養子縁組をする場合であっても,直ちに当該養子縁組について民法802条1号にいう「当事者間に縁組をする意思がないとき」に当たるとすることはできない。

(裁判所ウェブサイト内最高裁判所判例集 平成29年1月31日  平成28(受)1255 養子縁組無効確認請求事件 判決文より引用)

まあ手っ取り早く言うと「節税動機で養子縁組してもそれだけで親子関係を作る意思がないとは言えないでしょ」という感じですかね。

あるいは「節税のために親子になろう」という雰囲気って言ったらちょっと言いすぎでしょうか?

いずれにしても「親子になろう」という「意思」が養子縁組において必要であることは変わりないのでしょう。

今回の判例でも先ほど引用したように「動機」と「意思」が「併存し得る」とあるわけですしね。

ただ冒頭にご紹介した私のブログ記事では戦前の養子縁組が認められなかった判例に触れましたが、今回の判決の些細な感想としてそれらの事例とどう違うのか、私には正直ちょっとよくわからないです。

まあこの辺りは法律解釈の世界の話ですし、より専門の方々のご意見等をお聞きする機会があったらぜひ拝聴したいなと個人的には考えています。

でもまあもし現状を追認しなかった場合は相続税法の取扱いにおいて大混乱になることは想定されるわけで、こういう結論にはなるんだろうなあとは思いますけどね。

 

実態はどうなのか?

ただ何でもかんでもこの養子縁組が認められるかといえば、そうとも言えないケースも考慮しておく必要があるみたいですね。

実際この判決を受けての昨日2017年2月1日の日本経済新聞朝刊の記事では以下のように書かれてる箇所がありましたので引用させていただきます。

ただ、相続税法は「相続税の負担を不当に減少させる結果となる場合は、税務署長の判断で養子を算入せずに税額を計算することができる」と定める。国税庁は「縁組に至った経緯や生活実態など個々の事例に応じて判断する」としている。

(2017年2月1日日本経済新聞朝刊記事「節税目的「広がる」 専門家が指摘」より引用 )

この辺りがある意味民法上の養子縁組における親子関係を作る意思があるかどうかを見ているという考えが、相続税法や運用面でも生きているのかな?と個人的には感じています。

特に相続税は以前にもお話ししましたように基礎控除額が減額されたりして厳しくなってきている面はあるわけですしね。

節税対策ですから、きちんと税理士さんとも相談して対応することが大切ですね。

また養子縁組の手続きについては民法の条文にも細かな規定があって結構大変です。

配偶者の同意とか、未成年者を養子にする時のルールとかもろもろあるんです。

こういった細かい点もきちんと理解したうえで手続きをとることも重要です。

さらに引用記事の中にあるように国税庁が「個々の事例に応じて判断する」ということであれば、ただ節税対策というだけでなくきちんと親子としてかかわっているのかどうかというところまできちんと考える必要があるでしょう。

「形だけだから」ということでは、今回の裁判のケースではないですが、あとあとでトラブルを生むこともありえるかもしれません。

広く知られている節税対策であっても油断禁物、実態もきちんと「親子」としての形が必要であることを忘れないでほしいな、と個人的には思っています。

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