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アパートを建てることはなぜ相続対策と言われるのか?

このところアパートローンに関する記事が相次ぎました。

今朝(2016年12月14日)の日本経済新聞朝刊では「アパート融資 過熱警戒 金融庁、節税効果など調査 空室リスクに警鐘」という記事。

また先日ロイターの配信記事で以下のようなタイトルのものがありました。

「金融庁・日銀、アパートローンの監視強化 過剰供給リスクで」(2016年12月12日09:16配信)

いずれの記事でも昨年の相続税の改正による節税対策として、アパートを建てる需要があるというようなことに触れています。

が、一方でみなさんもご存知のように我が国は人口減少などの影響もあって、住居そのものに対する需要自体がどのくらいあるのか疑問が残るところもあるでしょう。

さてそもそもの問題点。

知っている方もいらっしゃるとは思いますが、そこは基本に立ち返りです。

アパートを建てることがそもそもなんで相続税の節税対策になるのでしょうか?

今日はそのあたりからお話しをはじめていきましょう。

 

アパートを建てて負債をつくる

以前不動産の価格について不動産の「一物四価」というお話しをさせていただきました。

その中で相続税の評価について土地の「相続税路線価」という説明をしました。

公示価格の8割と言われるこの「相続税路線価」は文字通り相続税を計算する際の価格です。

で、この相続税路線価ですが、一般的に更地、すなわち何にも建っていない土地で農地などでない土地が一般的に評価がもっとも高いといわれます。

なぜならばこの場合が一番土地を自由に使える状況にあるわけだからなんですね。

つまり土地の評価はその土地の利用状況が制限されないほうが高くなるということになります。

一方で現在何かに使われていれば他の土地利用はできないわけですから、土地の利用方法が制限されることになってしまってそのぶん土地の評価が下がってしまうんですね。

で、もうお分かりかと思いますが、相続税を節税しようという場合種々の条件などをクリアできていれば、更地にしておくよりもアパートなどを建てることによりその土地はアパートの建っている土地としてしか使えないので土地の評価が下がるんですね。

このアパートなど賃貸住宅の建っている土地が貸家建付地なんて呼ばれていて、一般的には「自用地評価額×(1-借地権割合×借家権割合)」って式になるのですがまああまり難しい話はおいておいて、だいたい相続税評価額の8割ぐらいになるといわれています。

ただそれだけだと今度は新築アパートの建物の価格も出てきてしまいます。

でも賃貸用の建物の価格も多くは通常の評価額の7割ぐらいになることが多くなってくるようです。

さらにアパートを建てるときに現金一括で建てる方もほとんどいないはずですよね。

アパートローンを組んでアパートを建てればローンの残高は負債扱いですからもし地主さん兼アパートオーナーさんに相続が発生すれば相続財産からそのぶんを差し引きできるわけです。

このローンを組むところがポイントで、更地の状態で何の負担もない状況よりもローンを組んでアパートを建てることの方が負債が増えて相続財産の評価額が減るため相続税の節税対策になる、というお話しなのですね。

このあたりよく相続対策の基本なんて言われる話で、実際FP試験の相続・事業承継設計のお話しなどにも出てくるところです。

とはいったものの私も10年以上前にFP試験を受けるまでは知らなかったわけで、あげくしばらく貸家建付地のことなんてとんと忘れておりました。

先日私よりぐっと若い友人FPさんと電話していた際にこの話になってふと思い出すという始末・・・。

友人FPさんに感謝しつつ、あららって感じです。

 

空室は大丈夫?

さて話をもどしましょう。

新しいアパートが建っていくとどういうことが起こるでしょうか?

近くに別のアパートがあったとすれば競争になることもあり得ます。

その時に古いアパートは手を加えていかないと入居者が減っていてしまいますよね。

手を加えていくにも修繕費用などがかかります。

入居者が減っていけば採算通りにいかないってこともありえます。

また相続対策だからと言って、そもそも空いている土地であればどこにアパートを建てても入居者が安定的に確保できるものなのか疑問は出てきますよね。

なんにせよ空室が多ければ採算が悪くなったりして、アパートローンとしてお金を貸した側、すなわち金融機関がちゃんと返済をしてもらえるのかちょっと心配だよね、という話が出てきます。

いわゆる「不良債権」になりはしないか?という問題点がでてくるのです。

冒頭の日経新聞の記事では「アパート融資 過熱警戒」とあり、またロイターの記事のタイトルでは「過剰供給リスク」という言葉が使われていますが、アパートローンがちゃんと貸し出されているのか貸し手側のほうを監視していく、という記事ですね。

またすでに今年(2016年)の9月30日の日本経済新聞朝刊では「真相深層 アパート建設 空室率悪化で泣くオーナー」という記事が出ていました。

これは相続対策を考えたオーナー側の視点から話が始まっていきます。

そして三つの記事とも不動産調査会社さんの話として空室率が上がってきていることなどが書かれています。

興味のある方は冒頭の日経新聞やロイターの記事も、また2016年9月30日の日経の記事も電子版ではまだ読むことができると思いますし、三つともアクセスしてみてくださいませ。

で、先程ご紹介した2016年9月30日付日経新聞の記事でも7月時点の貸家の着工伸び率について触れられていましたが、その後国土交通省ウェブサイト内の「平成28年10月の住宅着工の動向について」を見ると平成28年10月の貸家の住宅着工戸数は前年同月比22.0%増というとても大きな伸び率になっています。

なんか空室率が増えてるのに着工戸数は増えている、って確かにちょっと心配な話だな、なんて思ってしまいました。

空室が増えて採算が悪くなって相続対策がうまくいかない、などということが増えなければいいのですが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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