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遺産分割の考え方と手続き

昨日は遺産分割をなるべくわかりやすく話してみると題して主に遺産分割の前提である相続財産のお話しをさせていただきました。

今日(2016年7月22日)はその続きです。

 

遺産分割の考え方

まず最初に民法906条という条文を紹介します。

(遺産の分割の基準)

第906条 遺産の分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする。

まずそもそもこの条文がある、というかこんな基準が民法にある、ということをどのくらいの方がご存知でしょうか?

また資格試験などでこの条文に絡むような出題が出るようなこともほとんどないでしょう。

が、きちんとこの条文は存在しているのです。

この条文をよく読んでいただければ遺産分割は欲得でするものではない、ということが分かっていただけると思います。

本来遺産分割はもっとおだやかに相続人全員の状況をきちんと考えてするべきもの、ということが民法の考え方なのではないでしょうかね。

とはいえ・・・

実際にはなかなか難しいものがありますよね。

そこでこの後の民法第907条にもう少し実務的な内容が出てきます。

 

遺産分割の手続き

ちょっと長いのですが、民法第907条は大事な条文ですので1項から3項まで全部引っ張らせていただきましょう。

(遺産の分割の協議又は審判等)

民法第907条

第1項 共同相続人は、次条の規定により被相続人が遺言で禁じた場合を除き、いつでも、その協議で、遺産の分割をすることができる。

第2項 遺産の分割について、共同相続人間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、各共同相続人は、その分割を家庭裁判所に請求することができる。

第3項 前項の場合において特別の事由があるときは、家庭裁判所は、期間を定めて、遺産の全部又は一部について、その分割を禁ずることができる。

ふぅ~、長い条文にお付き合いいただきありがとうございました。

まず1項ですが、民法上は遺産分割は「いつでも」できることが原則です。

なお途中ででてくる「次条の規定により・・・」という部分ですが、被相続人は遺言で5年を超えない期間を定めて遺産分割を禁止するという規定があるのです。(民法第908条に記載があります。)

したがって被相続人が遺産分割を禁止している遺言書を残していれば遺産分割はできないわけです。

ところで先ほど遺産分割について「民法上は」いつでもできるとお話ししました。

ただこれには注意が必要です。

というのもよくあるご相談で「10か月以内にしないといけないんですよね?」というお話しをお受けします。

そこでこの「いつでも」というお話をさせていただくと驚かれます。

その上で「ただし・・・」といって一応ご案内させていただくのが相続税の申告のお話しです。

ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、先ほどの「10か月」という期限は相続税の申告期限です。

このお話しが出てくると相続税の申告はもちろん税理士さんのお仕事ですので、詳細は税理士の方にお任せします。

が、一般論としてのご説明まではさせていただくのが通例でして、相続税のいろいろな軽減措置を受けるにあたっては遺産分割が終わっていることが条件になります。

ですから相続税の申告が必要な方、つまり相続財産が基礎控除の範囲を超えそうな方は遺産分割を申告期限までに済ませる必要がでてくるわけです。

さて相続財産の基礎控除、平成27年1月1日に変更になっています。

たくさん各メディアで取り上げられたのでこれまたご存知の方も多いと思いますが念のためご紹介すると、

「基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)」

ですね。

法定相続人が3人だと平成26年末までに発生した相続については8000万円だったのが、現在は4800万円なので4割減になった、というお話しも改正のころによく出ていたところでしたね。

さて話を条文にもどしましょう。

第1項の主語は「共同相続人は」とあります。

この「共同相続人は」、もちろん相続人全員です。

ここで注意する点は、亡くなった方に認知された婚外子さんがいた場合です。

この婚外子さんを参加させずに分割協議をしてもその協議は認められません。

あくまで相続人「全員」であることが大事なことなので要注意です。

(なお遺産分割の当事者として包括受遺者と言われる方や相続分を譲り受けた方も含まれるのですが、突っ込んだお話しになるのでここでは省略します。なおこれらの方がいらっしゃる場合はこの方々の遺産分割協議への参加が必要になります。)

もう一つよくある誤解をお話しします。

それは「遺産分割協議」をすることと「相続の放棄」をすることを混同している方がけっこういらっしゃるということです。

前職での経験でもそうでしたが、ご相談に来られる方の中には同じだと思っている方が多いのです。

まず先ほど申し上げた通り民法上「遺産分割」は「いつでも」できます。

これに対して「相続の放棄」は相続人自身が「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月」以内にしなければなりません。

これが一般的によく「被相続人が亡くなってから3か月」と言われているところです。

ただ先ほど婚外子の方の場合など被相続人の死亡を知ったのがもっと後になるケースもあるので、こういう書き方に条文上はなっているのです。

また遺産分割の「協議」は当然当事者間でやりますが、「相続の放棄」は裁判所に対してお手続きをすることになります。

ということで言い方が違うようですが、やりたい手続きが違うと期限も違ってくるので十分ご注意くださいね。

って、1項だけで話しがこんなに長く・・・。

ペース配分が悪くてすいません。

続きはまた明日。

 

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